2025-04-26 コメント投稿する ▼
「地震予知は困難」政府が正式見解 南海トラフ・首都直下への備えを呼びかけ
政府、地震「予言」拡散に異例の対応
内閣府は24日、公式X(旧ツイッター)アカウント「内閣府防災」で、地震に関する注意喚起を行った。「日時と場所を特定して地震を予知することは、現在の科学的知見からは困難」であると明言し、SNS上で拡散している「予言」情報を事実上否定した。
この投稿は、香港を中心に「日本で7月に大地震が発生する」との噂が広まっている事態を踏まえたものとみられる。
防災相「科学的知見に基づく行動を」
25日の閣議後記者会見で、坂井学防災担当大臣は、発生日時を正確に特定する地震予知は困難であると改めて強調した。その上で、「南海トラフ地震や首都直下地震といった大規模地震は近い将来発生する可能性が高いとされている。予言に惑わされることなく、科学的根拠に基づいて常日頃から備えを進めてほしい」と呼びかけた。
坂井氏はまた、防災対策について「地域ごとのハザードマップの確認、緊急持ち出し品の準備、家族との連絡方法の確認を平時から行うことが重要だ」と強調した。
SNS発の「大地震予言」拡散、観光にも影響
今回の一連の「予言騒動」は、香港を中心に拡大している。香港の一部メディアやSNSでは、風水師や日本の漫画作品を根拠に「7月に日本で大規模な地震が起こる」という情報が拡散。これにより、訪日観光客の不安が高まり、グレーターベイ航空は香港―仙台、香港―徳島間の便を減便する事態に発展している。
訪日客の減少は地方空港や観光地の経済にも影響を与える可能性があり、観光庁は「正確な情報の発信に努める」として対策に乗り出している。
南海トラフ地震、首都直下地震への危機感
政府の地震調査委員会によると、南海トラフ地震は今後30年以内に発生する確率が70~80%とされており、マグニチュード8~9クラスの巨大地震になる恐れがある。また、首都直下地震も発生確率が高く、被害は甚大になると想定されている。
これらを踏まえ、政府は2013年に「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」を策定し、広域的な避難計画や事業継続計画(BCP)の整備を自治体や企業に求めてきた。
坂井防災相は「予言に惑わされるのではなく、確実に来るかもしれない現実に備えることが、命を守る第一歩だ」と強調した。
- 内閣府が「地震予知は科学的に困難」と公式発信
- 防災相が「予言」より「現実に備えることが重要」と強調
- 香港では「日本で7月に大地震」とのデマが拡散、観光便に影響
- 南海トラフ・首都直下地震への備えを呼び掛け
- 政府は防災対策の強化と正確な情報発信を推進