2025-04-26 コメント投稿する ▼
福島国際研究教育機構が起工 浪江町から復興と未来産業創出へ 2031年完成目指す
福島国際研究教育機構が起工
国が福島第一原発事故からの復興に向けた中核拠点と位置付ける「福島国際研究教育機構(F-REI)」の建設が本格的に始動した。4月26日、福島県浪江町の建設予定地で起工式が行われ、関係者約60人が出席した。式典では、伊藤忠彦復興相が「福島の再生に向け、世界に誇れる研究拠点を築きたい」と述べ、くわ入れをして工事の安全を祈願した。
研究と産業創出の拠点
F-REIは、政府が推進する「福島イノベーション・コースト構想」の一環で設立された。構想では、原発事故に伴う人口流出や経済低迷に苦しむ福島県沿岸部に新たな産業と雇用を生み出すことを目指しており、ロボット、エネルギー、農林水産、医療、環境の5分野を重点領域に定めている。F-REIはこれらの分野における研究開発のハブとなるほか、国内外からの優秀な研究者を呼び込み、人材育成にも力を入れる予定だ。
広大な敷地に最新設備
施設はJR浪江駅の西側に位置し、敷地面積は約16万9000平方メートル、東京ドーム約3.5個分に相当する。完成後は最先端の研究棟群に加え、研究者向けの宿泊施設や交流施設も併設される計画だ。浪江町は、震災と原発事故により一時全町避難を経験した地域であり、この施設の建設は町の復興にとって大きな希望となっている。
現在は仮設本部で研究開始
F-REIは2023年4月に発足し、現在は浪江町内の別の施設を仮本部としながら、すでに研究活動をスタートしている。具体的には、既存の大学や研究機関に研究開発を委託し、ロボット技術の高度化や再生可能エネルギーの開発、農業の高度化に向けたプロジェクトが進められている。2031年3月末の本施設完成を目指し、順次施設の建設が進められる予定だ。
国際連携と地域振興を目指す
今後、F-REIは国内だけでなく、世界中の大学や研究機関、企業との連携を深める計画であり、福島から世界に向けて新たな技術や知見を発信することを目指している。政府関係者は「単なる復興事業ではなく、世界に開かれた持続可能な研究拠点として、福島の未来を切り拓く」との意気込みを示している。併せて、地域住民との共生も重視し、町の活性化にも資する取り組みを進める方針だ。
- 国の復興中核拠点「福島国際研究教育機構(F-REI)」の起工式を開催
- 浪江町に敷地面積約16.9万平方メートルの研究・宿泊施設を整備
- 2031年3月末の完成を目指す
- 重点研究分野はロボット、エネルギー、農林水産、医療、環境の5分野
- 現在は仮設本部で研究開発を開始済み
- 国内外の連携を強化し、世界に開かれた拠点を目指す
- 地域の産業創出・人口流入促進にも寄与する狙い