情報システム標準化、607自治体が2025年度末に間に合わず 人手不足と現場の混乱深刻

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情報システム標準化、607自治体が2025年度末に間に合わず 人手不足と現場の混乱深刻

自治体の情報システム標準化に暗雲


607自治体が期限に間に合わず、技術者不足で作業停滞

標準化の遅れ、自治体の3割が対象に


国が主導する情報システムの標準化作業で、自治体の3割にあたる607団体が2025年度末の期限に間に合わない見通しとなった。デジタル庁が6月27日に発表した最新状況によれば、対象となっている3万4592の業務システムのうち、607自治体に属する3279システムが移行に遅れが出るという。これは1月末時点からさらに53自治体増えており、標準化作業の進捗に大きなブレーキがかかっていることが明らかになった。

背景には、技術者の確保難や業務量の多さがある。特に中小の自治体では外部事業者への依存度が高く、作業を一括して委託できるだけの体制や予算、人材に乏しい現実がある。加えて、国が示す「標準仕様」の内容自体も理解が難しく、現場では「どこから手をつければいいかわからない」との声もあがっている。

「人手も時間も足りないのに、国は計画だけ突っ込んでくる」
「外注先も他の自治体の案件で手一杯で回ってこない」
「標準化って言うけど、システムの現場感覚がない」
「期限に間に合わせることだけが目的化してる」
「また税金で失敗プロジェクトか…」


本来の目的は「効率化」と「連携強化」


この標準化事業は、住民基本台帳、税務、福祉など20業務にわたる自治体のシステムを、国が定めた仕様にそろえるものである。異なるベンダーごとに個別開発されたこれまでの仕様を廃し、全国共通のシステムに置き換えることで、災害時の相互支援や自治体間の人事交流、業務の効率化、国の施策との連携を容易にするというのが狙いだ。

デジタル庁は「標準化によって無駄なカスタマイズを減らし、結果的にコストを下げる」と説明するが、現場では逆に「移行コストがかさみ、二重対応が発生している」との指摘もある。また、移行対象となる業務の一部には、住民の税金や個人情報を扱う極めて重要なものが含まれており、移行の不具合による住民サービスの混乱を懸念する声も強い。

30年度までに完了目指すが実効性に疑問


デジタル庁は、25年度末に間に合わない自治体を支援しつつ、最終的には2030年度末までにすべての移行を完了させる方針だ。とはいえ、現時点で期限に間に合わないとされている607自治体は、全国の約3割にあたり、そこからさらに遅れる自治体が出る可能性もある。計画通りに完了できるかどうかは極めて不透明であり、「30年度末すら絵に描いた餅になるのでは」との懐疑も根強い。

また、こうした遅延は国全体のデジタルガバメント戦略にも影響を及ぼしかねない。中央と地方のIT基盤が分断されたままでは、行政の一体化や災害対応の迅速化といった本来の目的が果たせなくなる可能性がある。

自治体が円滑に標準化を進めるには、現場の実態に即した柔軟な支援体制と、長期的な人材育成、システム設計の見直しが不可欠である。現状では「期限ありき」で各自治体を追い込む形になっており、それが却って制度の形骸化やシステムの不具合リスクを高めているようにも見える。

地方自治と国の押し付け構造の矛盾


今回の標準化遅延問題は、地方の現場がいかに人的・財政的に脆弱かを浮き彫りにしている。本来、地方自治は「住民に最も近い行政」としての独自性が尊重されるべきだが、現実には国主導の制度設計に従わざるを得ない構造が続いている。

地方の実態を無視したまま、標準化という名の一律化が進めば、住民サービスの低下や混乱、さらには情報漏洩リスクまで招きかねない。そもそも国はなぜここまで性急に期限を設けたのか。そこに明確な説明責任はあるのか。

企業献金や天下り構造を温存しながら、地方自治体には過重な移行作業を強い、支援は「伴走支援」と言うだけで、実質的な人的補強はなし――これでは、「行政の効率化」の美名の下に、責任だけが現場に押し付けられる構図だ。

本当に住民のためを考えるなら、各自治体の移行計画にあわせた減税措置や、制度設計の柔軟化、事後評価制度の導入など、現場目線の改革が必要だ。そうでなければ、またしても「デジタル化という名の失敗プロジェクト」が繰り返されるだけである。

コメント: 1件

2025-06-28 10:56:12(植村)

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上記の平将明の活動をどう思いますか?

コメント

国が一括で構築すればよかったのでは?

2025年6月28日 19:37 三島

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