2025-08-07 コメント投稿する ▼
「許可取ってこい」自衛隊隊長が市民に怒声 中谷防衛相「やりとりあったと承知」も詳細説明避ける
「拡声器での声かけ」に隊長が怒声 動画投稿で波紋
陸上自衛隊宮古島駐屯地の比嘉隼人・宮古警備隊長(1等陸佐)が、市民団体のメンバーに対し強い口調で怒鳴った問題が波紋を広げている。発端は8月6日早朝、市民団体「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」の2人が、新隊員による徒歩での防災訓練の様子を撮影しようと、沖縄県宮古島市の「いらぶ大橋海の駅」の駐車場に滞在していた場面だ。
2人が拡声器で「奇麗な朝日に戦闘服姿は似合わない」と声をかけたところ、比嘉隊長が現れ、「そもそも(駐車場の)許可取ってるんですか」「取ってこい、早く」と怒気を含んだ口調で詰め寄った。この一連のやりとりは市民側が撮影し、すでに動画投稿サイトで公開されている。
「まるで市民を敵扱いしてる」
「公務員が“取ってこい”なんて命令口調、アウトでしょ」
「自衛官の威圧行為、普通に問題では?」
「戦闘服が朝日に似合わないって言われたぐらいで?」
「動画見たけど、あれは“やりとり”じゃなくて“怒鳴り声”」
中谷防衛相「詳細を確認中」明言避ける答弁に批判も
この問題について、中谷元防衛大臣は8月8日の記者会見で言及。「市民の方々との間でやりとりがあったと承知している」としながらも、「詳細な事実関係については現在確認中」と述べ、具体的な見解や対応については明らかにしなかった。
中谷氏は、防衛省としての公式な調査の有無や、映像に記録された発言内容への評価にも踏み込まず、慎重な姿勢を保った。しかしSNSでは、「逃げ腰ではないか」「明らかにパワハラ的行為」との厳しい声も少なくない。
現場に居合わせた住民の安全や感情をどう守るか、自衛隊の現場判断と組織としての対応が問われている。
活動家の過激化と現場の緊張感 双方に冷静さ求められる
背景には、活動家側の行動の“過激化”があるとの指摘もある。防衛施設や訓練に対し、繰り返し声を上げる市民団体の一部には、挑発的な言動を繰り返す例もあり、自衛隊側の現場に少なからぬ緊張を生んでいるのは事実だ。
今回の拡声器による発言も、隊員にとっては「監視されている」「挑発されている」と感じるものであった可能性は否定できない。比嘉隊長の行動の背景には、そうした圧力への反応という側面もあっただろう。
しかしながら、いかなる状況であっても、公務員であり自衛隊の幹部である立場として、市民に怒声を浴びせることは正当化できない。組織の信頼を損なうだけでなく、国民との溝を深める危険がある。
「活動家のやり口にも問題あるけど、冷静さ失ったら同じ土俵」
「感情的になったら負け。そこは軍人としての矜持が必要」
信頼を守るのは“言葉の節度”と“対話の姿勢”
宮古島における自衛隊と市民の関係は、地理的・政治的に複雑な側面を含んでいる。防衛強化が進む一方で、それに対する疑問や不安を抱える住民も少なくない。だからこそ、現場での一つひとつの対応が、信頼構築において極めて重要になる。
今回の一件が、自衛隊側の説明責任と対応能力の課題として捉えられるとともに、活動家側にも節度ある行動が求められることは言うまでもない。信念を持って抗議することと、挑発を目的とする行動とは本質的に異なる。
防衛省には速やかに事実関係を明らかにし、適切な対応を示すとともに、現場の隊員が過剰なプレッシャーを受けず、市民との対話を保てるような仕組みづくりが必要とされている。