2025-08-03 コメント投稿する ▼
年金積立金が過去最高260兆円に 厚生年金は黒字継続、国民年金は赤字で格差拡大も
年金積立金、過去最高の約260兆円に 国民年金は赤字も厚生年金が大幅黒字
公的年金の2024年度(令和6年度)決算が公表され、厚生年金と国民年金を合わせた積立金総額が約260兆円と、過去最高を記録したことが明らかになった。積立金は前年度から4兆5000億円以上増加し、安定した資産形成が続いているものの、制度の内実には差が見られる。
厚生年金は好調な一方で、国民年金は2年ぶりの赤字に転落。現役世代の格差や将来不安といった年金制度の根深い課題も、改めて浮き彫りとなった。
厚生年金は5年連続黒字 国民年金は納付率改善も赤字
厚生労働省によると、2024年度(令和6年度)の決算で、厚生年金の収支は4兆6770億円の黒字となった。主な要因は、加入者数の増加と賃上げによる保険料収入の拡大。厚生年金の黒字はこれで5年連続となる。
一方、国民年金は2097億円の赤字。納付率の上昇で保険料収入自体は増えたものの、運用収益の伸び悩みが響いた。赤字は2年ぶりで、積立金の取り崩しが行われた。
この結果、2024年度末時点での積立金残高は以下の通り。
* 国民年金:12兆3138億円
* 厚生年金:247兆7618億円
* 合計:260兆757億円(過去最高)
厚労省は「年金財政は長期的な視野で見なければならない。国民年金が一時的に赤字であっても、全体としては安定している」と説明している。
“積立金増=安心”ではない 格差構造に懸念の声
過去最高となった260兆円という積立金の数字に対して、一定の安心感を覚える国民もいる一方で、「数字だけでは将来不安は拭えない」との声も根強い。
「積立金が増えても“払った分返ってくるのか”が不安なんだよ」
「年金の黒字ってニュースにされても、給付は増えないでしょ?」
「自営業者と会社員でこれだけ差が出る仕組みは不公平」
「厚生年金ばかり手厚くて、国民年金組は見捨てられてる感じ」
「安定運用も大事だけど、制度そのものの見直しもしてほしい」
特に、厚生年金と国民年金の積立金残高の差は20倍以上に達しており、年金制度が“分厚い会社員・薄い自営業者”という二層構造になっている現実が、強く意識されている。
将来世代への信頼回復が鍵 問われる制度の一体改革
年金制度は「現役世代が高齢世代を支える」構造であり、積立金の拡充はその持続性を下支えするものだ。しかし一方で、将来的な受給額への不安、制度の複雑さ、職業間の格差といった問題は解決されていない。
国民年金の給付水準は、老後の生活を支えるには不十分との指摘が以前からあり、将来受給額が生活保護水準を下回るという予測も現実味を帯びつつある。厚労省が「長期的視点」を強調する中でも、当事者である国民は「短期的に信頼できる制度」にこそ納得を求めている。
「“長期的視野で見て”って言われても、今の生活も苦しいんだけど」
「将来もらえないとわかってて払う人はいないよ」
「国民年金が赤字なのに、安定してるって本当に言えるの?」
「積立金が増えたなら、減税とか給付改善につなげてほしい」
「年金は“老後”の話じゃない。“今”の生活の延長なんだよ」
世代間の不公平や将来不安を解消するには、抜本的な制度改革や、負担と給付の再設計が求められている。
「積立金は国民の資産」 可視化と透明性の向上を
年金の積立金は、国民が長年にわたり納めた保険料の集合体であり、国民自身の“財産”でもある。政府はその資産運用を担っている立場として、より一層の透明性と説明責任が求められている。
現在、年金積立金の運用は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が担い、国内外の株式・債券などに投資しているが、リスク資産の割合や市場変動への対応、損失時の対応方針については国民に十分に理解されていない部分も多い。
積立金の額だけでなく、その中身、運用リスク、将来の給付設計など、より丁寧な情報開示が今後の信頼回復には不可欠だ。