2025-09-17 コメント投稿する ▼
介護福祉士養成校入学者の半数超が外国人留学生 厚労省が過去最多を報告
全体の増加幅584人の大部分を外国人留学生が占めており、養成校の存続や運営に外国人需要が直結していることが浮き彫りとなりました。 これに対し、大学や専門学校に通って資格を目指す「養成校ルート」は日本人学生の志望が伸び悩み、外国人留学生の割合が年々増しています。 その一方で、アジア諸国を中心とする外国人留学生が資格取得と就労を目的に入学するケースが急増しています。
介護福祉士養成校で外国人入学者が過半数に
厚生労働省が2025年9月17日に開かれた「福祉人材確保専門委員会」で報告したデータによると、今年度に介護福祉士養成校へ入学した外国人留学生が過去最多の4532人に達し、初めて全体の半数を超えました。前年より943人(26.3%)増加し、全体の入学者数7970人の57%を占めています。全体の増加幅584人の大部分を外国人留学生が占めており、養成校の存続や運営に外国人需要が直結していることが浮き彫りとなりました。
介護福祉士は現場の中核を担う資格ですが、現場で3年以上働いた上で研修と国家試験を経る「実務経験ルート」で資格を取得する人が多いのが現状です。これに対し、大学や専門学校に通って資格を目指す「養成校ルート」は日本人学生の志望が伸び悩み、外国人留学生の割合が年々増しています。留学生の存在は養成校の経営を左右するまでになっています。
外国人依存が強まる介護人材
介護業界では人材不足が深刻化しており、特に若い日本人の志望者減少が顕著です。その一方で、アジア諸国を中心とする外国人留学生が資格取得と就労を目的に入学するケースが急増しています。養成校関係者からは「外国人留学生がいなければ定員割れで運営が難しい」という声も出ています。
「養成校のクラスの半分以上が外国人留学生という状況は珍しくなくなった」
「卒業後も現場で働き続けてくれるかどうかが課題だ」
「介護の質や利用者の安心を守るため、日本語力や専門知識の定着が不可欠だ」
「国家試験の合格を必須にすべきとの意見は根強い」
「人材不足の解消を優先し、経過措置を延長すべきとの声も強い」
こうした現場の声からも分かるように、介護の担い手確保は量と質の両面で難題を抱えています。
国家試験の経過措置をめぐる議論
養成校ルートには現在、卒業時に国家試験の合格を必須としない経過措置が設けられています。これは人材不足に配慮した暫定的な対応ですが、その終了期限が2026年3月末に迫っています。厚労省は廃止か延長かを今冬にも判断する見通しで、専門委員会で議論が続いています。
資格の信頼性を維持するためには経過措置の廃止が望ましいとする意見と、人材確保を優先して延長すべきだとする意見が対立しており、今後の判断は介護業界全体に大きな影響を及ぼします。介護福祉士の資格制度は、介護サービスの質を守る砦である一方、現場の人材不足を和らげる調整弁として機能してきました。制度の持続性をどう確保するかが問われています。
今後の課題と展望
外国人留学生が半数を超える状況は、介護業界の国際化が急速に進んでいることを示しています。ただし、言語や文化の違いが利用者の安心感に影響を与える可能性も指摘されています。安定的な人材確保のためには、外国人材の受け入れ強化と同時に、日本人学生が介護職を志望しやすい環境づくり、待遇改善が不可欠です。
厚労省の今後の判断次第で、養成校の制度設計は大きく変わります。介護現場の負担軽減と資格の信頼性確保を両立させるために、制度の抜本的な見直しが求められています。