2025-09-22 コメント投稿する ▼
静岡県がインド介護人材受入れセミナー開催/鈴木康友知事「人材不足解消へ新たな一歩」
主な制度には、EPA(経済連携協定)に基づく「介護福祉士候補者」の受入れ、在留資格「介護」、技能実習制度、特定技能制度の四つがあり、それぞれ運用形態や要件が異なります。 * **在留資格「介護」制度**。 * **技能実習制度**。 * **特定技能制度**。 静岡県のセミナーはこれら制度を前提とし、特にインド人材をどの制度で受け入れることが現実的かを県内事業所に提示する機会となります。
静岡県セミナーと外国人介護制度の概要
鈴木康友=現職静岡県知事が率いる静岡県は、介護人材不足への対応として「インドからの介護人材受入れセミナー」を9月29日に開催予定です。目的は県内介護事業所の管理者などに、インド人介護人材の送り出し制度や受入れの事例を紹介し、理解を深めてもらうことです。セミナーは県、静岡県社会福祉法人経営者協議会、静岡県老人福祉施設協議会が主催し、対面とオンライン両形式で行われます。参加費は無料です。
この取り組みは静岡県独自のものですが、外国人介護人材を受け入れる制度は全国的に整備されています。主な制度には、EPA(経済連携協定)に基づく「介護福祉士候補者」の受入れ、在留資格「介護」、技能実習制度、特定技能制度の四つがあり、それぞれ運用形態や要件が異なります。県としては、これらの制度を理解・活用するための支援体制構築と実務レベルの課題共有をセミナーで図ろうとしています。
四制度の特徴と静岡県セミナーとの関係
制度ごとの主要な特徴は以下の通りです。
* EPA(経済連携協定)制度
インドネシア、フィリピン、ベトナムなどの協定国から、「介護福祉士候補者」が日本語研修を経て入国し、施設での勤務と研修を行いながら国家試験受験を目指す制度です。在留期間内で試験合格を前提とする点、日本語能力の事前要件が高い点が特徴です。合格すれば、在留資格「介護」へ変更できる可能性があります。 ([Mitte-X][2])
* 在留資格「介護」制度
日本の養成施設を修了し国家資格を取得した留学生が取得できる制度です。資格取得前には語学や研修、施設勤務などの要件があります。家族の帯同が可能となるケースもあり、将来的な在留延長の道がある制度です。
* 技能実習制度
外国人が一定期間、日本で介護を含む実務を学びながら技能を修得する制度です。実習期間は最長で数年ですが、国家資格とは直接結びつかないことも多いため、実習後のキャリアパスに制約があります。制度によっては在留資格の変更を経て「介護」資格に繋がる可能性もあります。
* 特定技能制度
介護分野で深刻な人手不足がある中、一定の技能と日本語能力を持つ外国人を最大5年受け入れる制度です。訪問介護分野などでの就労が可能になるなど、実務での活用が期待されています。特定技能1号の外国人には支援計画が義務付けられており、住居、日本語学習、就労・生活相談などが含まれます。
静岡県のセミナーはこれら制度を前提とし、特にインド人材をどの制度で受け入れることが現実的かを県内事業所に提示する機会となります。静岡県の事業所がEPAや特定技能を利用する際の条件、日本語研修の準備、送り出し国とのパートナー関係構築など実務的ハードルの共有が期待されます。
課題と静岡県での懸念点
制度にはメリットがありますが、課題も少なくありません。
1. 日本語能力の要件
EPA制度や「介護」在留資格、特定技能制度などでは、日本語の読み書き・会話能力が一定水準を超えることが求められます。インド人材を対象とする場合、送り出し機関や現地での日本語教育環境が整っていないこと、また研修期間や語学テスト準備に時間と費用を要することがハードルになります。
2. 国家試験合格の難易度
国家試験で合格することがEPA制度などの要件とされているケースがあり、試験対策や教育支援が十分でないと不合格で帰国となるケースもあります。これが人材の定着を阻む要素になっています。
3. 制度の複雑さと事業所の理解不足
企業・事業所側にとって、どの制度を使うのが最も適切か判断するのが難しい点があります。EPAルート・特定技能など制度によって手続き、条件、受け入れ可能な業務範囲などが異なるため、実務サポートや自治体支援が必要です。
4. 定着と生活支援の問題
言語・文化・労働環境の違いから、離職率が高くなることがあります。住居・生活環境、日本の介護慣習の違いなどにも適応が求められるため、県または施設側のサポート体制が成否を分けることになります。静岡県ではこのあたりをセミナーで共有したいという意図があります。
静岡県の可能な対応策と今後
静岡県は以下のような対応策を検討・実行することで、インド人材受入れを実効性あるものにすることができます。
* 送り出し国のインド側送出機関との協定の締結、信頼できる機関と連携すること。
* 日本語研修を事前に十分導入すること。オンラインまたはインド国内での研修、到着後研修など二段階教育の構築。
* 施設側での受け入れ環境整備(言語サポート、生活住居支援、文化理解研修など)。
* 県内の介護事業所に対する制度利用支援(ガイドブック提供、県行政窓口での相談体制強化など)。
* 定期的なフォローアップや定着支援、離職防止策および生活環境改善のモニタリング。
以上を含め、静岡県のセミナーはインド人材を「制度の外れもの」とならないよう、制度の枠組みを丁寧に使いこなすための検討場として期待されています。