秋田県は4月4日、県内の農事組合法人が生産したコメから、食品衛生法で定められた基準値を超えるカドミウムが検出されたと発表した。このコメは秋田県だけでなく、神奈川県や宮城県の加工・卸売業者にも販売されており、現在自主回収が進められている。
問題となっているのは、小坂町の農事組合法人「熊谷農進」が令和5年産として生産したコメ。県によると、このコメの一部から、基準値の0.4ppmを超える0.47ppmから最大で0.87ppmのカドミウムが検出された。先月、東北農政局から「基準値を超える可能性のあるコメが流通している」との情報提供を受け、秋田県が調査を行った結果、今月2日に判明したという。
流通量はおよそ86トン 健康被害の報告はなし
熊谷農進が昨年生産したコメのうち、約88トンが収穫され、うち86トンあまりがすでに市場に出回っていた。主な販売先は秋田県内だけでなく、神奈川、宮城の加工・卸業者で、個人への直販も含まれている。
現在、熊谷農進は該当するコメの自主回収を始めており、県も販売先への連絡や回収の支援を進めている。現時点で健康被害は確認されていないものの、県は念のため住民向けに相談窓口を設置し、不安の声に対応する方針だ。
原因は「湛水管理」の不備か 県が経緯を調査
今回のカドミウム検出について、熊谷農進は「田んぼに十分に水を張ってカドミウムの吸収を抑える“湛水管理”が不十分だった可能性がある」と説明している。特に猛暑が続いた夏場、想定どおりの水管理が難しかったことが影響したとみられる。
秋田県は今後、詳しい経緯や流通経路の把握を進めるとともに、再発防止策の検討に着手する考え。農業関係者には改めて管理体制の徹底を呼びかけている。
消費者への呼びかけ 心配な場合は問い合わせを
厚生労働省によると、今回のようなカドミウムの検出レベルでは、すぐに健康に影響が出るとは考えにくいという。ただし、長期的に摂取し続けた場合、腎臓などに悪影響を及ぼす可能性があるとされており、慎重な対応が求められる。
もし該当するコメを購入した可能性がある場合は、購入先の業者や地元自治体の相談窓口に連絡するよう呼びかけられている。
- 秋田県小坂町の農事組合法人が生産したコメからカドミウムが基準値超えで検出
- 最大で0.87ppm、基準の0.4ppmを大きく上回る値
- 約86トンが秋田・神奈川・宮城の業者などに流通
- 現時点で健康被害は確認されておらず、自主回収が進行中
- 湛水管理の不備が原因とみられ、秋田県が調査と再発防止を進める