2025-08-08 コメント投稿する ▼
限界集落3万超、加速する高齢化と人口減少 地域維持の正念場
限界集落3万1000超に 人口減少と高齢化が加速
過疎地域における高齢化の現実が、また一つ数字で示された。国土交通省と総務省が2024年4月時点で行った調査によると、住民の半数以上が65歳以上となる「限界集落」は全国で3万1515に達し、全調査対象集落の40.2%を占めた。これは2019年の前回調査より約9000増加しており、人口減少と高齢化の進行が一層鮮明になった。
特に深刻なのは、住民全員が65歳以上の集落が1458も存在し、そのうち475集落は全員が75歳以上という実態だ。かつては地域社会を支えてきた中山間地や離島、半島部などで、日常生活の維持や地域の存続が危機的な段階に入っている。
「この数字は予想以上。若者が戻らない限り、集落の機能は急速に失われる」
「道路やインフラの維持すら困難になるのでは」
「地域行事や伝統が途絶えるのが一番つらい」
「移住促進も大事だが、まず医療と買い物の支援を」
「行政の支援だけでは限界。地域内での助け合いも必要」
地域別で深刻度に差
地域ごとのデータを見ると、限界集落数が最も多いのは中国地方で6846。九州が6845とほぼ同数で続き、東北が5941だった。一方、限界集落の割合が最も高いのは四国で51.9%と、全国で唯一過半数を超えた。
この数字の背景には、若年層の都市部への流出と、地元での雇用機会不足がある。農林水産業の担い手不足も顕著で、耕作放棄地や管理が行き届かない山林が増加している。結果として地域経済が縮小し、さらに若者が離れるという悪循環が続いている。
交通・医療・買い物の三重苦
高齢化率が高まるにつれ、日常生活の基盤が脆弱になる。特に問題なのは交通手段の確保だ。公共交通が廃止された地域では、自家用車を運転できない高齢者が移動に苦労している。
医療アクセスの悪化も深刻で、最寄りの病院まで1時間以上かかるケースも珍しくない。移動販売車や宅配サービスが地域を支えているが、事業者の高齢化や採算性の問題から、持続可能性に不安がある。
買い物環境も同様に厳しい。商店が閉鎖され、日用品の入手さえ難しい「買い物弱者」が増えている。
政策の方向性と課題
政府は過疎法や離島振興法、半島振興法などを通じて支援を行ってきたが、効果は限定的だ。単なる補助金や一時的な事業ではなく、長期的な生活基盤の再構築が求められている。
人口流出の抑制には、若者が働ける職場の確保と教育環境の整備が不可欠だ。また、地域外からの移住促進だけでなく、既存住民の生活の質を維持することが急務となっている。ICTや遠隔医療、ドローン物流などの新技術の活用も注目されるが、インフラ整備と人材確保が伴わなければ定着は難しい。
都市部との交流や二地域居住の推進も一案だが、現場では空き家の活用、耕作放棄地の再生、地域交通の確保といった課題が山積している。数字が示す現実は厳しく、このままでは限界集落が「消滅集落」へと移行する可能性も否定できない。
3万を超えた限界集落の存在は、単なる統計ではなく、日本社会の構造的課題を映し出している。人口減少と高齢化は都市部でも進行しており、地方だけの問題ではない。今後、国・自治体・民間が連携し、地域ごとに異なる課題に即した対策を打てるかが試されている。