2025-05-28 コメント投稿する ▼
与那国町診療所が医師不在の危機に直面 地域医療振興協会が撤退へ、町が県に支援要請
与那国町の診療体制に危機 地域医療振興協会が撤退表明
沖縄県の最西端、与那国島で唯一の診療所が、2026年4月以降、医師不在の状態になる恐れがある。長年、町からの委託を受けて医師を派遣してきた公益社団法人地域医療振興協会(本部:東京都)が、契約更新を行わず撤退する方針を町に伝えたことが明らかとなった。町は対応に奔走しているが、離島医療の根幹が揺らぎかねない深刻な事態だ。
11年続いた医師派遣が終了へ
この協会は2011年から町立診療所の指定管理者として、医師を派遣してきた。契約は5年ごとに更新されてきたが、来年3月末で現在の契約が切れるのを機に、協会は町に対して「更新は行わない」と通告。理由として、全国的な医師不足を挙げているという。
町側は事態の打開を目指し、糸数健一町長が協会の本部を訪ねて直接継続を要請したが、協会は態度を変えず、県からの医師派遣を検討するよう促したとされる。
町長「無医島にさせない」 県にも支援要請
糸数町長はこの問題を重く受け止め、県庁で行われた市町村との意見交換会の場で副知事に対して支援を直訴。さらに、県の保健医療介護部の責任者とも面会し、医師派遣の支援を求めた。県側は「現状を確認する」としたものの、確約には至っていない。
町では2023年度から診療所の医師を1人から2人体制に増やし、協会側が求めた委託費増額にも応じていた経緯がある。それだけに、今回の撤退決定に町は大きな落胆と憤りを抱えている。
他の離島にも影響か 連鎖的撤退の可能性
協会は与那国のほかにも、竹富町や久米島町など県内複数の離島診療所を受託している。今年4月には国頭村の診療所からも撤退しており、医師不足が慢性化する中で、さらなる離島からの撤退も懸念されている。
町の担当者は「今回の件は与那国だけの問題ではなく、今後ほかの島にも広がる可能性がある」と語り、医師確保の抜本的な制度改革を国レベルで求める必要があるとした。
離島医療を守るには
与那国町は日本で最も台湾に近い離島であり、空港からも限られたアクセス手段しかないため、医療体制の脆弱性は常に課題だった。町では現在、医師や看護師向けの住宅を建設するなど定住支援策を進めているが、それだけでは持続的な医療体制の確保は困難だ。
糸数町長は「与那国を無医地区にするわけにはいかない。これから必死に医師を探していく」と語っており、町、県、そして国を巻き込んだ対策が急務となっている。
ネットの反応
「医療崩壊が現実になろうとしている。与那国のような離島の医療をどう守るのか本気で考えるべき」
「たった2人の医師で地域全体を支える現実に、頭が下がる」
「国が医師派遣の仕組みを整えない限り、離島医療は維持できない」
「医師不足を理由に、これだけ住民の命を左右する撤退をするとは残念」
「行政の本気度が問われる問題。今こそ政治の出番だ」