2025-03-28 コメント投稿する ▼
柏高校吹奏楽部の長時間練習問題 遺族が日弁連に人権救済申し立て
長時間練習の実態と影響
報告書によれば、男子生徒が亡くなった2018年当時、吹奏楽部の練習時間は月平均192時間30分に達していた。授業時間を含めた総拘束時間は346時間30分にも及び、これは文化庁が定めるガイドラインを大きく逸脱している。同ガイドラインでは、平日の活動時間は2時間程度、休日は3時間程度とされている。
ガイドライン遵守の現状と課題
文化庁とスポーツ庁は2022年、新たなガイドラインを公表し、部活動の適正な時間管理を求めた。しかし、柏市では各校が独自の方針を採用しており、柏高校では平日は「原則3時間以内」、休日は「6時間以内」と設定されている。これは国のガイドラインに反しており、遺族側の代理人である関哉直人弁護士は「現場がガイドラインを受け入れていない状態だ」と指摘している。
長時間部活動がもたらす影響
長時間の部活動は、生徒のみならず教師にも大きな負担を強いている。実際、部活動の顧問を務めたことで過労死した教師もおり、社会問題となっている。特に吹奏楽部は、各地で長時間部活動の代表例として挙げられている。また、検証委員会の調査報告書では、長時間部活動の問題点が指摘されており、各校が独自で方針を決めている現状に対しても苦言が呈されている。
遺族の訴えと今後の対応
亡くなった男子生徒の父親は、柏市が調査報告書の提言を無視していると憤りを示している。同校のホームページを見ると、吹奏楽部は地元の祭りや市主催のイベント、海上自衛隊の航空祭、地元のマラソン大会など多くのイベントに参加しており、活動内容がほぼ変わっていないという。これに対し、柏市教育委員会は「来年度には、部活動のあり方を検討する方向」と回答している。
他校の取り組み:愛知県立半田高等学校の事例
一方、他の高等学校では部活動の在り方について独自の取り組みを行っている例もある。愛知県立半田高等学校の吹奏楽部は「生徒主体」で活動しており、指揮者や定期演奏会の運営、曲決めなどを生徒が主体的に行っている。これにより、生徒同士が意見を素直に言い合える環境が魅力とされている。また、同校の吹奏楽部は地域のイベントにも積極的に参加しており、2024年6月2日には半田赤レンガ建物で開催された「第1回音楽マルシェ」に出演し、地域との交流を深めている。さらに、2023年6月29日には愛知県立ひいらぎ特別支援学校との交流会を実施し、楽器紹介や合同演奏を通じて共生社会の実現に向けた取り組みを行っている。