2025-06-21 コメント: 1件 ▼
大阪市の特区民泊が全国の95%を占める異常事態 制度の欠陥と住民被害が顕在化
大阪市の特区民泊が全体の95%を占める異常事態 制度の欠陥と住民の苦悩
大阪市で急増する特区民泊が、地域住民との深刻な軋轢を生んでいる。とりわけ注目されているのは、大阪市此花区で計画されている“200室超の新築マンションを全室民泊として運用する”という計画だ。住居として購入した住民たちにとって、隣が突然ホテルになるようなもので、驚きと反発の声が上がるのも無理はない。
この計画に対し、地域の有志団体はすでに2万1千筆超の反対署名を大阪市保健所に提出。問題は、こうした計画が「制度の欠陥」によって合法的に進行可能であるという点にある。
特区民泊は、国家戦略特区に基づき旅館業法の適用を一部免除する形で、事業者による住居用施設での宿泊サービスを認める制度だ。施設の規模に上限がない一方で、事前説明や苦情対応の義務は“努力義務”にとどまり、実効性に乏しい。実際に大阪市が今年度受けた苦情では、認定前の施設をめぐる「民泊反対」「生活環境への不安」が目立ち、認定後には「ごみの放置」「騒音」など現実的な問題が多く報告されている。
「民泊ってもう観光支援じゃなくて、住民の生活破壊だよね」
「毎日違う人が出入りするって普通に怖い」
「共用部をホテルみたいに使われるの本当にストレス」
「せめて事前説明と住民合意を義務化してほしい」
「制度の穴を突いた計画がまかり通るのはおかしい」
全国の特区民泊の9割以上が大阪市に集中する理由
特区民泊の認定件数を見ると、2024年4月末時点で大阪市は6,194件。全国の特区民泊計6,542件のうち、実に95%が大阪市に集中している。その次に多い東京都大田区は301件と、大きく水をあけられている。
なぜ大阪市に集中しているのか。その理由の一つが、住宅宿泊事業法(いわゆる「新法民泊」)では年間営業日数が180日に制限されているのに対し、特区民泊では通年営業が可能である点だ。年間を通じて稼働できることで収益性が高まり、事業者にとって魅力的な制度となっている。
また、大阪市は世界的観光地・京都に隣接しており、関西国際空港やUSJなど観光インフラが集中している。外国人観光客の宿泊需要が旺盛であることも、この偏りの一因といえる。
一方で、認定数の急増に伴い、制度運用の精度が問われている。市内では、廃業届が未提出のまま物件が放置されたり、同一物件で複数回認定を受けた“重複案件”が300件以上確認されるなど、行政側の管理にも課題が残る。
制度は民間に丸投げ、苦情対応は後手に
特区民泊を管轄する内閣府の担当者からも「適正な数値目標が必要ではないか」との声が出ており、制度の“行き過ぎ”に懸念が示されている。大阪市側も「民間の競争を規制するのは難しいが、課題を抽出し解決に向けて検討する」と述べているが、実効性のある対策はまだ見えてこない。
現在の制度設計では、「事前説明」や「住民からの苦情対応」などの対応義務が形式的になりがちで、住民の不安や被害を防ぐ仕組みとして機能していない。騒音、ゴミ、不審者の出入りといった生活環境の悪化に対する責任の所在があいまいなまま、事業者側は利益を得て住民は泣き寝入りという構図ができあがりつつある。
「民泊にしたマンションの下の階で暮らすの、毎日がストレス」
「自治会の相談も無視される。声が届かない制度って何?」
「民泊ルール、守られないなら廃止でいい」
「大阪市って民泊企業に甘すぎると思う」
「制度が観光業者に偏りすぎ。住民軽視も甚だしい」
京都市の対策に学ぶべきは「住民優先の姿勢」
京都市では特区指定を受けていないものの、条例で独自の民泊規制を実施している。住居専用地域では営業期間を閑散期(1月15日~3月16日)に限定し、観光ピーク時のトラブル抑制を図っているのが特徴だ。
平成28年に設置された民泊通報窓口には、年間1,000件以上の苦情や無許可営業に関する通報が寄せられた経緯があり、その対応として、267件に営業停止や撤退を命じた実績もある。京都市の担当者は「住民の生活を守ることが前提」とし、制度設計を住民目線で行っている点が際立つ。
一方、特区民泊を推進する大阪市では、経済効果を優先するあまり、住民への配慮が後手に回っている。地方自治体が果たすべき「生活環境の保全」という役割が、民泊ビジネスの拡大の陰で置き去りにされているのではないか。
「観光立国」から「住民不在国家」へ? 今こそ制度の再設計を
インバウンドの回復とともに再び脚光を浴びている民泊制度だが、それが住民との対立や生活被害を生むものであってはならない。とくに、特区民泊という制度は、本来“観光と地域の共生”を目指すものであったはずだ。
今や一部の自治体で特区民泊が“ビジネス優遇制度”として独走し、住民の安全や静穏な生活を脅かしているとすれば、根本的な見直しが必要だ。政府は制度設計の初期に掲げた理念に立ち返り、民泊事業と地域住民が本当に共存できるための明確なルール整備と法的拘束力を伴った指針を打ち出すべきだろう。