2025-06-10 コメント: 1件 ▼
大阪市の給食トラブル続発で横山市長が契約解除も検討 異物混入に不安広がる現場
異物混入や調理ミスが相次ぐ 新業者への変更後に不安広がる
大阪市東住吉区にある市立小学校の給食で、異物混入や調理ミスといったトラブルが相次いで発生している。市教委によれば、髪の毛の混入、ごはん粒の付着、濡れたままの食器、さらには炊飯の失敗など、衛生面や基本的な調理工程で複数の不備が報告された。児童の中には、こうした状況により弁当を持参する事態にまで発展しており、保護者や教育関係者の間で懸念が広がっている。
問題の調理事業者は、今年4月から新たに給食業務を担当するようになったばかり。しかし、導入直後から学校現場では複数の不具合が確認され、5月の市議会教育こども委員会では、市議から「児童の健康と安心を損ねる事態」だとして市教委の対応を厳しく問う声が上がった。
こうした中、6月10日に再び開かれた委員会では、さらに新たなトラブルが報告された。具体的には、調理中に手袋が破れ、破片を探すために給食提供が遅延したことや、ごみ箱に触れた手でそのまま食材に触れるという衛生上深刻な事案も含まれていた。この結果、該当する料理の提供が見送られるなど、現場の混乱は続いている。
市教委は再三の指導 是正催告を出すも効果見えず
市教育委員会は、問題を把握した4月下旬から5日間、職員を現場に常駐させて調理作業の監視に当たったが、トラブルは止まらなかった。その後、5月下旬から再度立ち合いを再開し、同月末には業者に対し是正計画の提出を求める催告を出すなど、対応を強化してきた。
それでも改善は進まず、現場からの報告は絶えない。保護者の間では「また今日もトラブルだった」と不安の声が広がり、SNSなどでも「子どもに安心して給食を食べさせられない」といった投稿が見られるようになっている。
「給食が安心できないって、信じられない」
「こんな状態でよく業務を続けさせてるな」
「市教委の監視体制にも限界があるのでは?」
「自分の子どもが弁当を持って行っている…本当に情けない」
「業者任せじゃなくて、市が責任を持って再構築すべき」
こうした声が物語るのは、単なるミスの連鎖ではなく、給食という公的サービスの根幹が揺らいでいる現実である。
横山市長「契約解除も含め選択肢を検討」 慎重な姿勢も見せる
こうした現状を受けて、横山英幸大阪市長は6月10日、記者団の取材に応じ、「トラブルが続いていることを重く見ている」と述べた上で、「是正指導を行い、再発防止策が示された場合は引き続き提供してもらうこともあるが、契約解除も選択肢の一つとして検討していく」と明言した。
ただし、契約については「一方的に解除できるものではない」とも指摘し、法的・制度的な制約があることを踏まえた上で、慎重に対応を進めていく考えも示した。市は今後、業者の対応状況をさらに注視しながら、必要に応じて契約見直しを含む抜本的な措置を検討するとしている。
横山市長は「児童や保護者が不安にならないよう、透明性のある説明と対応を重ねていく」と述べ、現場の声に寄り添った施策を講じる意向を表明した。
教育の信頼を守れるか 給食は「命のサービス」
今回の問題は、単なる業務上の不手際では片付けられない。給食は、児童にとって「命に直結するサービス」であり、栄養や衛生、安全が確保されていることは大前提である。その信頼が損なわれた今、教育行政全体の姿勢が問われている。
業者の選定基準、監督体制、保護者への情報共有、そして最も重要な「子どもたちの食の安全」──これら一つひとつが、改めて制度の再構築を迫られている。
横山市政はこれまでも教育・子育て支援を重要政策の一つに位置付けてきた。今回の給食トラブルへの対応が、市長の政治的手腕と責任感をはかる試金石となることは間違いない。