2025-05-03 コメント投稿する ▼
駅頭で手を振るだけの政治は終わりにしよう──尾島紘平都議が『見せかけ政治』に警鐘
政治家の「駅頭パフォーマンス」は本当に必要か?尾島紘平氏がSNSで問題提起
選挙のたびに見かける光景がある。駅の改札前に立ち、満員電車へと急ぐ通勤客に「おはようございます!」と声をかけ、名刺サイズのビラを手渡す政治家や候補者。あるいは通学・出勤ラッシュの交差点で、ただ手を振り続ける姿。果たしてこれは、有権者との真の対話になっているのか。
東京都議会の最大会派「都民ファーストの会」で幹事長を務める尾島紘平都議(練馬区選出)が、4月末、自身のX(旧Twitter)に次のような投稿を行い、議論を呼んでいる。
「また炎上するかも知れませんが。選挙前に駅頭や街頭の様子をSNSにアップするのは意味があるのかどうか。『頑張っています』以上でも以下でもないのではないか。有権者が知りたいのはもっと、その政治家の思想や理念、政策や実績ではないか。」
この発言は、一見すると地味な批判に見えるかもしれない。しかし、現代の政治と広報戦略、そして有権者との関係のあり方をめぐる、本質的な問題提起である。
「政治活動の儀式化」がもたらす空洞化
多くの候補者が「活動報告」としてSNSに駅頭活動の写真をアップし、「朝から立ちました」と投稿する。それに対して尾島氏は、そうした行動が「政治家の存在証明」になってしまっており、「中身のないアピール」に堕していると暗に批判する。
実際、多くの市民は政治家の「お手振り」や「候補者名の連呼」に慣れすぎて、目を合わせずに通り過ぎる。中には、「朝からうるさい」「名前を叫ぶだけで中身がない」とSNS上で不満を投稿する人も少なくない。
こうした「パフォーマンス政治」が続く背景には、選挙が近づくと“何かをしている”という見た目の印象が重視される風潮がある。だが、それは本当に有権者の心に届いているのか。
求められるのは「思想・政策の可視化」
尾島氏は、単なる姿勢ではなく、政策や理念、実績といった中身の発信こそが有権者の信頼を得る道だと主張している。
「私はそこを意識して発信を続け、日々アンチが増えています。」
皮肉なことに、政策に踏み込んだ発信をすればするほど、意見の対立を生む。だが、それこそが民主主義における健全な議論であり、単なる人気取りの「握手マラソン」よりもはるかに有意義な活動ではないか。
有権者はもっと賢明だ
政治家がいまだに「ビラ配り=信頼獲得」と考えているとすれば、それは有権者を見くびっているとも言える。今の有権者は、SNSや動画、比較サイトを通じて候補者の実績や発言、政策を調べている。形式的な行動よりも、その裏にある意志や一貫性、責任感こそが問われているのだ。
政治家の朝の「お手振り」やSNSへの駅頭写真投稿が、どれほど有権者に響いているのか。尾島紘平氏の問題提起は、政治家自身が“見せる政治”から“語る政治”へと転換すべき時が来ていることを示唆している。市民もまた、そのアピールの中身にもっと敏感であるべきだ。