2025-10-04 コメント: 1件 ▼
石原伸晃氏「消費税批判は政治家人生の否定」年収250万円層の25万円負担が示す現実
石原氏は「消費税が経済成長を阻害する」との見方を否定し、「負担が増えて消費活動が停滞していることは素直に認めたい」と語りました。 石原氏は議論の中で「消費税がダメなら、代わる財源は法人税で取るのか。 そのため、消費税は「薄く広く」ではなく、実際には低所得層ほど重く、逆進的な税となっています。
石原伸晃氏、消費税論争に再登板
自民党元幹事長の石原伸晃氏は、2025年10月4日に配信されたユーチューブ番組で、相次ぐ消費税反対論に異議を唱えました。石原氏は「消費税が経済成長を阻害する」との見方を否定し、「負担が増えて消費活動が停滞していることは素直に認めたい」と語りました。その上で「消費税は薄く広く取るので安定財源になり得る。これで社会保障費を賄おうと導入が決まった」と述べ、制度の正当性を主張しました。
石原氏は日本テレビの政治記者を経て政界入りし、党政調会長や石原派(近未来政治研究会)会長などを歴任しました。2021年の衆院選で落選後、2025年7月の参院選東京選挙区への立候補を目指しましたが、自民党の公認を得られず政界を引退しました。現在はテレビのコメンテーターとして活動しています。
この日の番組は、起業家の溝口勇児氏が主宰する「NoBorder」で、京都大学大学院教授の藤井聡氏らが出演しました。藤井氏は「消費税減税こそが経済成長を促す」と主張し、石原氏と活発な議論を交わしました。
「政治家人生の否定」と語る葛藤
石原氏は議論の中で「消費税がダメなら、代わる財源は法人税で取るのか。所得税で取るのか。有価証券取引税を復活させるのか」と問いかけました。その上で「消費税がそもそも元凶だといわれると、政治家人生の中でやったことをすべて否定されるようだ」と語り、自身の信念をにじませました。
「消費税がそもそも悪だといわれると、これまでの努力が無になる」
「だが負担感があるのは確かで、そこを政治が無視してはいけない」
「財源論を抜きに減税を叫ぶのは無責任だ」
「それでも私は、国民の理解を得て制度を守るべきだと思う」
「政治は人気取りではなく、責任の積み重ねである」
石原氏は、政治家と記者の両方を経験した立場から「政策の背景を理解せずに批判だけが先行する風潮」にも苦言を呈しました。
「薄く広く」は本当に公平か
石原氏が語った「薄く広く取る」という説明は、制度理念としては理解しやすいものの、現実には負担の偏りが存在します。たとえば年収250万円の人が生活費でほぼ全額を消費に回す場合、年間25万円の消費税を納めていることになります。所得の1割が税として吸い上げられる計算であり、これほど重い負担を求める税は他に多くありません。
高所得者は所得の一部しか消費せず、貯蓄や投資に回す分には課税されません。そのため、消費税は「薄く広く」ではなく、実際には低所得層ほど重く、逆進的な税となっています。
「年収250万円の人が25万円も税を払うなんて高すぎる」
「生活に余裕のない層から取る税金は、もはや公平ではない」
「貯金できない人ほど損をする制度だ」
「国民の痛みを軽くする方法を政治が考えるべきだ」
「これでは“薄く広く”ではなく、“深く広く”ではないか」
こうした意見はSNS上でも多く見られ、政治家や学者の議論とは別に、生活実感としての怒りが高まっています。
政治家の誇りと国民の声
石原氏は「記者時代、竹下登首相が3%で導入するために奮闘しており、私もそれを応援する記事を書いた」と振り返りました。そして「小渕恵三さんが官房長官でうれしそうだったのを覚えている。買い物に行っても『あ、1割払わなきゃいけないんですね』と払っていた」と笑みを見せました。
しかし番組では、「消費税は経済のブレーキ」とする意見が相次ぎ、石原氏は「こんなに人気がないとは思わなかった」と苦笑しました。「社会保障を支えるのは国民全員の合意だと思っていたのに、有識者まで反対とは興味深い」と皮肉も交えました。
国民の側からは、近年の物価上昇や生活負担を背景に、減税を求める声が一層強まっています。多くの人が「給付金よりも減税を」と訴え、政治への不信感を募らせています。
石原氏の「政治家人生の否定」という言葉には、過去の制度を守る責任と、時代に応じて見直すべき現実との狭間で揺れる政治家の葛藤が込められています。消費税をめぐる議論は、単なる財源論ではなく、「誰がどれだけ負担し、どのように支え合う社会を作るか」という日本社会の核心に踏み込む問題となっています。