2025-04-13 コメント: 1件 ▼
「2年限定の減税では景気は動かない」──国民心理を読み違える自民党の経済対策
また、ガソリン税の暫定税率についても「これをなくすことは決めている」とし、その実施時期を今年中に明確化したうえで、当面は補助金で価格を抑える案があることも紹介した。さらに、佐藤氏は夏の参院選を控えた情勢にも触れ、「単なる選挙対策ではなく、今は日本が国際社会の中でどれだけ強くなれるかが問われる正念場だ」と語り、経済対策の重要性を強調した。
時限式減税では景気は動かない
こうした佐藤氏の発言は、一定の柔軟性を持った経済政策を模索する姿勢として評価できるが、問題はその中身だ。「2年だけの消費税減税」という“時限措置”では、多くの国民は将来の増税や経済不安を見越して、消費を控え、むしろ貯蓄に走る傾向が強まる。これは経済学でも繰り返し指摘されてきた現象であり、実際に消費喚起にはつながりにくい。
ところが、こうした国民の心理や現実を前提とした政策設計が、自民党内で十分に共有されていないように見える。「減税すれば経済が動く」という短絡的な考えに陥っては、かえって逆効果になりかねない。
消費税減税の効果と課題
第一生命経済研究所の永濱利廣氏による分析では、同規模の減税を比較した場合、消費税減税は所得税減税よりも1年目のGDP押し上げ効果が2倍以上になるとされている。さらに、税率を5%に引き下げれば、GDPを0.8~0.9%押し上げ、雇用も約57万人分増えるという試算もある。
ただし、東京財団などからは、法改正のために時間がかかることや、高所得層に恩恵が偏る可能性などの課題も指摘されている。
与野党の対立と今後の行方
自民党内では、消費税減税と給付金を組み合わせる案に一定の支持がある一方で、立憲民主党の枝野幸男元代表は「減税ポピュリズムに走るなら別の党を作るべきだ」と強く批判。物価高や米中経済摩擦を背景とした政策対応をめぐり、与野党の間でも意見の対立が深まっている。
いま政治に求められているのは、数字だけの机上の論理ではなく、国民の生活実感に根差した現実的な経済政策だ。だが残念ながら、自民党は「2年限定の減税」といった見かけ倒しの策に傾きつつあり、景気の本質的な回復にはつながらないリスクがある。そのことを、本当に理解しているのか――疑問を抱く声は少なくない。