2025-06-06 コメント投稿する ▼
奈良県で開庁時間短縮の動き広がる 働き方改革とデジタル行政の両立目指す自治体
奈良県内で相次ぐ開庁時間短縮 背景に職員の働き方改革
奈良県内の自治体で、役所などの開庁時間を短縮する動きが広がっている。これは、職員の働き方改革の一環として進められており、従来の「午前8時30分~午後5時15分」といった開庁時間を、より短く効率的な時間帯に見直すことで、業務の無駄を減らし、長時間労働の是正を図る狙いがある。
この動きはすでに奈良市が先行しており、今年2月から「午前9時~午後5時」に変更。また、生駒市が9月1日から「午前9時~午後4時30分」に移行予定で、橿原市も7月1日から試行的に同様の時間へ移行するとしている。こうした取り組みが今後県内の他自治体にも波及する可能性がある。
利用実態から見えてきた「短縮しても問題ない」実情
生駒市の例では、2023年9月から10月にかけて市民課を訪れた住民の約90%が、「午前9時~午後4時30分」の間に来庁していたことが確認されている。これにより、「従来通りの長い開庁時間は必ずしも必要ではない」との判断に至ったという。
対象となるのは市役所本庁舎のほか、市民活動推進センター、こども家庭センター、健康課が入る施設、さらに市内各所に設置された市民サービスコーナーなど。業務の効率化だけでなく、職員が開庁準備や閉庁後の後処理に追われる時間外労働の削減も期待されている。
橿原市では、開庁時間の変更はまず市民窓口課や福祉、年金、子育て関連などを対象に、今年度は試行期間とする。市は「朝夕の来庁者は全体の約1割」と説明しており、利用状況を見て来年度から本格実施するか判断する方針だ。
行政のデジタル化で「行かなくてもできる」手続きが拡大
開庁時間短縮の一方で、奈良県内の自治体では行政サービスのデジタル化が急速に進められている。生駒市ではすでに住民票の写しのコンビニ交付を実施しており、さらに転出届などもオンライン化している。
7月からはマイナンバーカードを活用したオンライン申請で、除籍謄本や納税証明書などの各種証明書の取得も可能となる予定だ。決済手段もクレジットカードや「PayPay」などのスマホ決済に対応し、郵送にも柔軟に対応する。
小紫雅史・生駒市長は「開庁時間を短縮することで一部ご不便をおかけするが、デジタル化と併せて市民サービスの質はむしろ向上させたい」と語る。
利用者目線と地域事情のバランスが鍵
一方、奈良県内の山間部に位置するある自治体では、従来から朝夕の来庁者が少ない傾向にあることから、「現在の開庁時間でも実質的な影響は少ない」としている。ただし、「他の自治体の動向や地域住民のニーズを踏まえつつ慎重に判断する」との姿勢を崩していない。
自治体サービスは地域によってニーズが異なるため、すべて一律に短縮すべきという話ではない。あくまで市民の利便性と職員の働きやすさの両立を追求する柔軟な制度設計が求められる。
開庁時間の短縮とオンライン行政の融合は、地方行政の「次の標準」となるかもしれない。その成否は、市民と自治体がどれだけ相互理解を深められるかにかかっている。
ネット上の反応
SNSでも、この取り組みに対するさまざまな声が寄せられている。
「開庁時間短縮、全然問題ないと思う。むしろ職員の働き方見直すいい機会」
「デジタル手続きで済むなら、そもそも役所に行く必要ないし合理的」
「年配の人のために窓口のサポートは残してほしい」
「PayPay対応は地味にありがたい。郵送でも簡単に済むのは助かる」
「試行的にやる姿勢は好感持てる。他市町村も続いてほしい」
開庁時間の見直しと行政手続きのオンライン化。これまでの「役所に行って手続きする」が「自宅で済ませる」へと変わっていく過程で、自治体の柔軟な対応力が問われている。