2025-08-16 コメント投稿する ▼
石垣島の二期米挑戦と苗代補助──米不足と価格高騰に立ち向かう地域農業の未来
石垣島で進む「二期米」挑戦 中山よしたか氏の主張と地域農業の行方
石垣島は温暖な気候を生かし、年に二度の稲作が可能な地域だ。しかし現実には、二度目の収穫期が台風シーズンと重なり、被害のリスクが大きいため、多くの農家は二期作を避けてきた。そんな中、近年のコメ不足と価格上昇を背景に、石垣市が苗の購入費を支援し、島内向けの販売を目的に二期米の作付けを推進したことが注目されている。中山よしたか氏(前石垣市長)は、自身の発信でこう指摘している。
「石垣島は温暖な気候でお米が年2回収穫できますが2期目は台風被害を恐れ殆どの農家が植えません」
「昨今の米不足と価格高騰を受け石垣市が苗代金を補助して島内販売用に2期米を植えて貰いました」
「リスクに対し行政が補助すればチャレンジできます。台湾貨客船航路開設もそうです。これが政治です」
米不足と価格上昇が後押しする二期作
全国的に不作と需給の不安定さからコメ価格は上昇傾向にある。輸入増加や政府備蓄米の放出検討が進められているものの、地方では「自給の底力」をいかに発揮するかが課題となっている。石垣市の「お米クーポン」配布が市民生活を支えた一方で、生産現場への直接的な補助はより踏み込んだ政策として議論されている。苗代補助によって農家の経済的リスクを抑え、島内流通を確保する仕組みは「小さな自治体ならではの実践型農政」として評価できるだろう。
ただし、苗代支援だけでは気象災害のリスクは解消されない。二期米は病害や品質不安定、労力集中といった課題を抱えており、収益確保には精緻な制度設計が不可欠である。現場では株を残して再び稲を伸ばす「再生二期作」への試みも進められており、労力とコスト削減につながるか注目されている。
台湾との新航路がもたらす影響
中山氏が二期米支援と並べて強調したのが、台湾との貨客船航路の新設だ。石垣港と台湾・基隆を結ぶ航路は、観光客誘致に加え、農産品や生活物資の物流にも大きな効果をもたらす可能性がある。台風で航空便が途絶する事態に備えた「安全弁」としての役割も期待されている。
フェリー航路は農産品輸送のコスト低減や販路拡大にも直結する。特に石垣島のブランド米や加工食品を台湾市場へ届ける仕組みが整えば、二期米の販路確保につながるだろう。もっとも、通関手続きや保冷輸送体制などの課題も残されており、地元行政と事業者の緊密な連携が欠かせない。
行政の補助でリスクをどう分担するか
行政がリスクを引き受けることは、生産者の挑戦を後押しするうえで有効な手段だ。しかし、無条件の補助ではなく、次のような工夫が必要になる。
* 台風被害リスクや圃場環境に応じた段階的な補助設計
* 学校給食や観光業など「島内優先販売」を条件とした流通確保
* 収穫後の乾燥・調整・検査体制の強化による品質安定
* 実績評価を翌年度の補助設計に反映させる仕組み
こうした制度が整えば、単なる一時的な施策ではなく、持続的な農業振興につながる。中山氏の提起は、島の食料自給と地域経済の両面を考えるうえで示唆に富んでいる。
ネット上の反応
「台風の時期に二期作は危険。補助金を入れても結局赤字になるのでは」
「島内で消費できる分だけでも増やせるなら試す価値がある」
「クーポンよりも農家への直接支援を増やしてほしい」
「台湾航路は夢があるけど、物流コストを下げないと実際には厳しい」
「再生二期作でコスト削減ができれば、価格高騰にも歯止めがかかりそう」
石垣島の二期米は、単なる農業政策の範疇を超えて「地域の食と経済の安全保障」という側面を持つ。補助による挑戦が軌道に乗るかどうかは、行政の支援設計と農家の知恵、さらに流通と観光の結びつきにかかっている。台湾航路の開設は、島の未来を形づくるもう一つの鍵だ。今回の取り組みは「リスクをどう共有し、地域の資源をどう活かすか」という問いを突きつけている。