2025-10-27 コメント投稿する ▼
宮城自民が和田政宗前参院議員の処分検討、党籍保有のまま参政党連携で規律問題
自民党宮城県連は2024年11月27日、前月の県知事選に出馬した前参院議員・和田政宗氏の処分を検討することを明らかにしました。 この結果は、自民党内での派閥対立の深刻さを物語っています。 2024年の派閥パーティー裏金問題でも自民党内の処分基準の曖昧さが指摘されており、和田氏の処分判断も党紀委員会の判断次第で大きく左右される可能性があります。
党籍を持ったままの他党連携が問題に
自民党宮城県連は2024年11月27日、前月の県知事選に出馬した前参院議員・和田政宗氏の処分を検討することを明らかにしました。和田氏が自民党籍を保持したまま参政党と政策連携して選挙戦に臨んだことが、県連内で批判を招いています。県連会長の小野寺五典税制調査会長が記者団に処分検討を明かしました。
2024年10月26日投開票の宮城県知事選では、和田氏は無所属で立候補し、参政党から支援を受けました。一方、現職の村井嘉浩知事は多数の自民党県議の支持を背景に6選を目指していました。選挙結果は村井氏が34万190票を獲得して当選し、和田氏は32万4375票で僅差敗北。しかし注目すべきは、仙台市内での得票で村井氏を上回るなど、都市部での善戦が目立ったという点です。この結果は、自民党内での派閥対立の深刻さを物語っています。
政党内の反発が急速に高まる
11月27日の県連会合では、複数の県議が和田氏の処遇について活発に意見を表明しました。特に参政党との政策協力に合意した点が問題視され、党執行部は厳しい姿勢を示しました。 県連幹部は「本来であれば自ら党を去るのが筋だ」と述べ、和田氏が自発的な離党を検討すべきだとの考えを示唆しました。
和田氏と参政党は2024年9月19日、県の水道事業の民営化見直しなど複数の政策課題を盛り込んだ「政策覚書」を締結していました。具体的には移民政策への反対、大規模太陽光発電やメガソーラー計画の抑制、土葬墓地の不許可方針の維持など、現職村井知事の施策と大きく異なる方針を打ち出していました。選挙戦中には、参政党代表・神谷宗幣氏が複数回にわたって仙台で応援演説を行うなど、組織的な支援が行われました。この連携がどの程度の規律違反に相当するかが、処分判断の焦点となっています。
参政党は当初、県連副会長のローレンス綾子氏の独自候補擁立を検討していましたが、和田氏との政策協力に道を譲る形で独自候補の擁立を見送りました。これは参政党が「政策本位の議論」を重視し、「長期多選の弊害を抑止し健全なガバナンスを取り戻す」ことを目的とした判断だったとされています。
政党の自浄作用と党紀規律の課題
自民党規律規約が定める処分は8段階あります。最も重い「除名」から軽い「党則順守の勧告」まで様々ですが、党籍保持のまま他党と政策連携する行為がどの段階に該当するかは明確ではありません。 過去の党内造反事件では、2005年の郵政民営化に反対した議員が除名されるなどの事例がありますが、政策協力という形での連携は比較的新しい問題です。
所属議員が党と異なる政治姿勢を持つ候補を支援する事例は、政党の組織としての結束を揺るがす懸念がある一方で、地域の有権者ニーズと党方針にズレが生じた時、議員の政治的信念をどこまで尊重するかという根本的な課題を突きつけています。 こうした問題は、自民党の党紀規律のあり方を根本から問い直す契機となっています。
和田氏は元NHKアナウンサーで、2013年の参議院議員選挙で宮城県選挙区から初当選、2019年に全国比例区で再選された経歴があります。参議院内閣委員長を務めるなど党内での地位も確立していました。しかし、今回の知事選での参政党との連携は、党内での主流派との距離を生み出し、今回の処分検討につながったとみられます。
オンライン上では複数の意見が交錯しています。
「自民党籍を保ったまま参政党と組むというのは甘すぎるのでは。党の一員なら党の判断を尊重すべき」
「和田氏の得票力に注目すべき。仙台市内で現職を上回ったというのは無視できない」
「参政党との政策協力は誰のための政治なのか、国民に説明するべき」
「知事選の結果より党の論理を優先するなんて、自民党らしい」
「処分を急ぐより、今後の政党のあり方を議論するべき」
処分判断の行方と党の課題
処分の具体的内容は今後、県連幹部による検討を経て決定されることになります。軽い「戒告」程度に収まる可能性もある一方で、「選挙における非公認」や「党員資格停止」といった重い処分に至る可能性も指摘されています。2024年の派閥パーティー裏金問題でも自民党内の処分基準の曖昧さが指摘されており、和田氏の処分判断も党紀委員会の判断次第で大きく左右される可能性があります。
自民党が重視すべき点は、物価高対策として財政出動や減税が一刻の猶予も許されない中での政治的混乱の回避です。 数十年に渡る自民党の失策によって明らかになった物価高の問題に対して、政権与党内での紛糾は有権者の信頼をさらに損なわせます。
和田氏の対応いかんでは、自民党内での党紀規律そのものが問われる事態に発展する恐れもあります。また、この処分判断は単なる懲罰ではなく、自民党が将来どのような党でありたいのかを示す試金石となるでしょう。政権与党の内部矛盾が有権者にどのように映るかも注視されています。
自民党宮城県連のこうした動きは、所属議員の政治的自立性と党組織の規律という課題の狭間で直面する葛藤を浮き彫りにしています。処分判断の明確性と透明性が求められるゆえんです。今後の展開は、自民党の自浄能力と政治姿勢を大きく左右することになるでしょう。