自民党金融調査会長を務める片山さつき参院議員は、ロイターの取材に応じて、ドル円相場について「120円台が実力」という見解を示した。また、日本株長期保有を促進するための税優遇措置を検討していることを明らかにした。
ドル円相場の現状と今後の見通し
片山氏は、ドル円相場について「120円台から130円台が実力」という見方が広がっていると述べ、円高が進行することが物価高の沈静化に寄与するとの見解を表明した。円高実現のためには、金融政策だけでなく、他の施策を講じる必要があるとの立場を取っている。
さらに、片山氏は「為替介入は短期的な効果はあるが、長期的には効果が限られている」とし、根本的な対策が必要だと指摘した。また、為替水準については「立場上、あるべき水準を断言することはできない」と述べ、過度な為替操作の弊害を警戒している。
日本株の長期保有に対する税優遇措置
片山氏は、日本株を長期保有することのメリットを高めるため、税制面での優遇措置を検討していると明言。具体的には、高齢者が日本株を長期間保有する際に、相続税を一部免除することを提案している。この措置が実現すれば、個人投資家が日本株を長期にわたって保有するインセンティブとなり、国の経済成長にも貢献すると見込まれている。
自民党は、少額投資非課税制度(NISA)の拡充を含め、こうした施策を骨太の方針や年末の税制調査会に盛り込むことを目指している。片山氏は「日本株を長期保有することが国の成長に貢献する」と強調し、日本株市場の安定化を目指す意向を示した。
米国との経済的な関係
片山氏は、米国の通貨安誘導や関税問題についても言及した。トランプ元米大統領が中国や日本の指導者に対し、通貨安誘導を続けることはできないと伝えたことを踏まえ、片山氏は「為替はファンダメンタルズに基づいて動くべきであり、変な操作は良くない」と述べた。また、米国からの円高誘導圧力については、2月の日米首脳会談でそのような設定はなかったと否定している。
さらに、米国のインフレ問題と利下げについても言及。「米国がインフレを抑えるために利下げを行うのは難しい」とし、日本も一方的な利上げが難しい現状を理解していると述べた。
ウクライナ戦争と追加関税への懸念
ウクライナ戦争に関して、片山氏は「戦争の終息に向かうことは日本にとってポジティブな動きだ」と評価し、資源価格の安定化が日本経済にとって好材料であると指摘した。特に、資源価格の安定は日本の経済にとって大きな利点であると考えている。
また、米国による追加関税の影響についても言及。片山氏は、トランプ関税が米国企業にとってコスト増となるため、関税の実施は慎重に見守る必要があると指摘した。「日本は米国との良好なパートナー関係を維持しており、米国が日本を狙い撃ちする意思はない」と分析した。
金融政策に対する慎重な姿勢
日銀の金融政策に関しては、「自民党の金融調査会会長としてコメントは控えたい」としつつも、与党内には日銀の追加利上げに対して景気悪化を懸念する声があることを認めた。片山氏は、現状では金利を上げられないわけではないと述べつつも、企業倒産の増加を背景に景気の慎重な管理が必要だと強調した。