2025-10-14 コメント投稿する ▼
茂木敏充氏が外相に 総裁選最下位から高市早苗氏の挙党一致人事で要職起用
2025年10月4日の自民党総裁選で5位に終わった茂木敏充元幹事長が、高市早苗新総裁の外相候補として浮上していることが明らかになりました。 しかし今回の総裁選では、茂木氏の豊富な経験や実績は評価されませんでした。 また総裁選で争った全候補を要職に配置することで、党内融和を演出する狙いもあります。 茂木氏の外相時代の実績は評価されています。
茂木氏は東京大学経済学部を卒業後、ハーバード大学ケネディスクールで修士号を取得した国際派のエリート政治家です。外相や経済再生担当相、幹事長などの要職を歴任し、特に外交分野では米国や欧州との交渉で手腕を発揮してきました。しかし今回の総裁選では国会議員票34票、党員票15票の計49票にとどまり、5候補中の最下位という厳しい結果に終わりました。
「茂木さんって英語ペラペラだから外交で活躍してほしい」
「総裁選で最下位だったのに外相って、派閥の論理じゃないの」
「高市さんは敵だった人を閣僚にして大丈夫なのか」
「外相は長くやらないと意味ないのに、また交代するの?」
「自民党196議席で過半数ないのに組閣の話してる場合か」
総裁選最下位からの外相起用に透ける思惑
茂木敏充氏は1955年生まれの69歳で、栃木5区から衆院当選11回を数えるベテラン議員です。2019年から2021年まで外相を務め、環太平洋経済連携協定や日米貿易協定の交渉を主導した実績があります。ハーバード大学で学んだ交渉術を駆使し、トランプ政権時代の米国との難しい通商交渉をまとめ上げたことで評価を得ました。
2021年からは自民党幹事長として党務を取り仕切り、選挙戦略や党内調整の経験も豊富です。経済産業相や経済再生担当相も歴任しており、内政から外交まで幅広い分野をカバーできる数少ない人材とされています。
しかし今回の総裁選では、茂木氏の豊富な経験や実績は評価されませんでした。国会議員票では5候補中最少の34票、党員票でもわずか15票と低調な結果でした。総裁選では「最も経験と実績があり結果を出せる候補」と自負していましたが、党内の支持は広がりませんでした。この背景には、企業献金の扱いや派閥政治への批判が影響したとの見方があります。
それでも高市氏が茂木氏を外相に起用する理由は明確です。国際情勢が緊迫する中で、米国や欧州との太いパイプを持つ茂木氏の外交力は貴重です。また総裁選で争った全候補を要職に配置することで、党内融和を演出する狙いもあります。茂木氏の起用は、高市氏が実務能力を重視する姿勢を示すメッセージとも受け取れます。
外交実績は豊富だが企業献金問題が影
茂木氏の外相時代の実績は評価されています。2019年の就任直後から米中対立が激化する中で、日米同盟の強化と中国との関係維持という難しい舵取りを行いました。トランプ政権との交渉では、農産品の関税引き下げで譲歩しながらも、自動車分野での追加関税を回避することに成功しました。
欧州連合との経済連携協定でも調整役を務め、自由貿易体制の維持に貢献しました。英語が堪能で、主要国の外相との直接対話ができることも強みです。外務省内でも茂木氏の交渉力は高く評価されており、再登板を期待する声がありました。
しかし茂木氏には企業献金をめぐる批判もつきまといます。自民党の政治資金問題が国民の信頼を失墜させる中で、茂木氏は企業献金の必要性を主張してきました。国民の為の政治ではなく企業の為の政治になる恐れがあるという批判に対し、茂木氏は「政策実現には資金が必要」と反論しています。この姿勢が総裁選での低支持につながったとの指摘があります。
公明党が自民党との連立離脱を示唆する中、企業献金問題は政権運営の障害となっています。高市氏が首相に指名されるためには、公明党との関係修復が不可欠ですが、茂木氏の起用が公明党の反発を招く可能性も否定できません。
過半数割れの自民党に立ちはだかる首相指名の壁
高市氏の閣僚人事構想は、まず首相指名という高いハードルを越えなければ実現しません。自民党の衆院議席は196で、過半数の233議席に37議席も届いていません。公明党の24議席と合わせても220議席で、なお過半数に13議席足りません。
2024年秋の衆院選で自民党が大敗して以降、自公連立は機能不全に陥っています。2025年7月の参院選でも自公は合わせて47議席しか獲得できず、参院でも過半数を失いました。これは自民党が政権の座にある期間に衆参両院で過半数を失うという、1955年の結党以来初めての事態です。
野党側は高市氏の首相指名を阻止する構えを見せています。立憲民主党は148議席、日本維新の会は35議席、国民民主党は27議席を持ち、これらが結束すれば自民党候補以外の首相が誕生する可能性があります。臨時国会は10月中旬に召集される見通しで、それまでの政治駆け引きが日本の行方を左右します。
茂木氏にとって、外相再登板は政治家としての復活の機会です。総裁選で最下位に沈んだ屈辱を晴らし、国際舞台で再び存在感を示すチャンスでもあります。しかしその前提となる高市政権の誕生自体が不透明な状況です。挙党一致の人事構想も、首相指名という関門を突破できなければ、絵に描いた餅に終わってしまいます。
自民党は今、結党以来最大の危機に直面しています。ドロ船政権と揶揄される中、茂木氏の外交力が党の立て直しに貢献できるかが注目されます。企業献金問題や派閥政治への批判に真摯に向き合わなければ、どれほど優秀な人材を配置しても国民の信頼は取り戻せません。茂木氏の外相起用が、自民党再生の一歩となるのか、それともドロ船の延命策に過ぎないのか、今後の展開が試金石となります。