2026-02-16 コメント投稿する ▼
高額療養費改悪で受診控え1070億円見込む、厚労省が削減効果に組み込み批判
厚生労働省が高額療養費制度の改悪による給付費削減の内訳に、患者の受診控えに伴う1070億円を見込んでいることが明らかになりました。命に関わる疾患から患者を守るはずの制度において、受診控えを前提とした試算が組み込まれていることに批判が高まっています。
受診控えで削減額の44パーセント
厚生労働省は2025年末に、高額療養費見直しによる給付費の軽減効果を公表しました。2026年と2027年の両年における高額療養費制度の改悪により、保険料と公費を合わせて2450億円の給付費削減を見込んでいます。
そのうち約44パーセントにあたる1070億円は、患者が医療費の自己負担増を避けるため受診を控えることによる給付費削減としています。この数字は実効給付率が変化した場合に経験的に得られている医療費の増減効果、いわゆる長瀬効果と呼ばれる算定式に基づいて機械的に算出されたものです。
高市早苗政権は高額療養費制度の患者負担の月額上限を2026年8月と2027年8月に2段階で引き上げ、最大38パーセントの負担増を押しつけようとしています。
過去の制度改悪でも同様の手法
政府はこれまでも、高齢者の窓口負担増などの制度改悪の際に、患者の自己負担が増えると受診率が下がり国全体の医療費が減る効果を試算に用いてきました。
2025年3月に凍結した高額療養費の見直し案に受診控えによる給付費削減効果を組み入れ、強い批判を受けましたが、見直しの復活を狙う今回の案にも織り込んでいます。高額療養費制度は、がんなどで多額の医療費がかかっても1カ月に支払う自己負担に上限を設ける制度であり、命に関わる疾患から患者を守るはずのものです。
上野厚労相は開き直り
上野賢一郎厚生労働相は2025年12月26日の会見で、受診控えによる給付費削減の見込みについて質問を受けました。
上野厚労相は、実効給付率が約0.22パーセント低下するため、その数字を実効給付率が変化した場合に経験的に得られている医療費の増減効果の算定式に機械的に当てはめると給付費の変化は約850億円減となるとした上で、これも言ってみれば単なる計算結果にすぎないと開き直りました。
記者からあくまで数字的なもので受診抑制があるかどうか分からないものを2450億円見込み、保険料は国民一人あたり1400円下がるというようなお示しをされているが、実際にそのような給付削減がないのであれば減額して見積もるべきではないかと問われましたが、明確な回答はありませんでした。
制度利用者の8割が値上げ
全国保険医団体連合会の分析によると、高額療養費制度の限度額引き上げは年1回から3回まで利用する人が対象となり、この層は660万人で年1回から3回の利用者の約8割に上ります。
2026年と2027年の2年間にわたる制度改悪で給付費が2450億円削減されますが、新設された年間上限該当者約50万人で給付費増加額は540億円となり、給付削減額と給付増加額の差し引きとなります。重大なことは限度額引き上げに伴う受診抑制を1070億円見込んでいることで、まさに命を削って1000億円削減されることを見込んでいることになります。
ネット上の声
「受診控えを前提にした制度設計って、命を軽視してるとしか思えない」
「単なる計算結果って開き直るなら、その数字で保険料削減効果を語るのはおかしい」
「がん患者が治療を諦めることを前提に制度を作るって、国として終わってる」
「保険料の軽減効果が一人年1400円で、患者負担は何万円も増える。何のための制度改悪だ」
「受診控えで医療費が減るのを期待してるって、公然と言っちゃうのがすごい」
保険料軽減効果はわずか
政府は現役世代を中心に保険料が増加したとして、現役世代の保険料軽減を口実にしています。しかし、加入者1人当たりの保険料軽減額は、引き上げの最終段階でも年間1400円、月117円程度にとどまります。
一方で、年収約370万円から770万円の人は現行の上限月約8万100円が段階的に引き上げられ、最終的に年収510万円から650万円の人は現行の1.4倍の11万3400円、650万円から770万円の人は1.7倍の13万8600円になります。70歳以上に適用される外来特例も年収200万円から370万円の所得区分では現行の1万8000円から2万8000円と55パーセント増となり、月額1万円の負担増となります。
命に関わる疾患から患者を守るはずの高額療養費制度において、給付削減のために患者の受診控えを前提とするのは重大です。国民の平和と暮らしではなく、財政削減を優先する姿勢が改めて浮き彫りになりました。