要介護1・2 訪問・通所介護の総合事業移行を厚労省が“見送り検討” 審議会で慎重論相次ぐ

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要介護1・2 訪問・通所介護の総合事業移行を厚労省が“見送り検討” 審議会で慎重論相次ぐ

厚生労働省は、要介護1・2の高齢者を対象とした訪問介護・通所介護サービスを市町村の「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」へ移管する構想について、次期制度改正(2027年度)での断行を見送る案を検討しています。 「要介護1・2」対象の訪問・通所介護を総合事業に移す構想は、給付費が膨らむ介護保険制度に対して、財務省が累次求めてきた改革メニューです。

訪問・通所介護 軽度者移行見送りへ


厚生労働省は、要介護1・2の高齢者を対象とした訪問介護・通所介護サービスを市町村の「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」へ移管する構想について、次期制度改正(2027年度)での断行を見送る案を検討しています。20日に開催された社会保障審議会・介護保険部会で、「まずは包括的に検討すべき」という厚労省の提示に対し、委員の支持が相次ぎました。

この構想は、サービス費用の伸びを抑制し、重度高齢者に資源を振り向けることを狙いとしていました。にもかかわらず、総合事業の整備状況が地域により大きく遅れているため、移行の実現性に疑問が呈されてきました。

背景と構想の本質


「要介護1・2」対象の訪問・通所介護を総合事業に移す構想は、給付費が膨らむ介護保険制度に対して、財務省が累次求めてきた改革メニューです。移行が実現すれば、国が主導する給付制度から市町村主体の支援へと“軽度者ケア”の枠が替わることになります。

しかし、現実には総合事業を運営する市町村の能力・財源・人材に地域差があり、全国一律で移行を実施できる状況には至っていません。審議会では「専門職による支援が必要な軽度者も多く、移行は慎重にすべきだ」との意見が目立ちました。

現場・有識者の受け止め


介護現場からは、見送り案に安堵する声が聞かれます。訪問・通所サービスを移管された場合、「地域支援に回せる仕組みや事業所の体力が整っていない」「軽度者でも専門ケアが重要」という声が強く、サービスの質低下を恐れた反対論が根強い状況です。

一方で、有識者からは「見送りは制度改革を断念したわけではない。むしろ準備期間として捉えるべきだ」との指摘があります。移行の必要性自体を否定せず、「質の確保」「自治体間格差の解消」「専門職関与の継続」という長期課題をどう整理するかが今後の鍵になります。

今後の論点


厚労省は部会後、「年末に取りまとめを行い、2027年度改正に向けて議論を継続する」としています。今後注視すべきポイントは以下の通りです。

1. 市町村ごとの総合事業受け皿の成熟度と差異の是正
2. 要介護1・2対象でも専門職による支援を維持する制度設計
3. 給付費抑制圧力とサービス維持のバランス維持
4. 見送りが“議論リセット”にならず、明確な結論に向けたプロセスになるか

政策的には、軽度高齢者のサービス移行というテーマが、単なるコスト削減ではなく、介護保険制度の持続可能性を左右する構図であることが浮き彫りとなっています。今回の「見送り検討」は改革の停滞ではなく、制度設計の“地盤固め”と評価する必要があるでしょう。

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2025-11-21 17:28:26(キッシー)

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