2025-11-19 コメント投稿する ▼
ケアマネ資格更新制廃止決定 上野厚労相が負担軽減明言で現場歓迎 深刻人材不足に対策
現行制度では5年ごとの更新研修受講が義務付けられており、これがケアマネジャーの大きな負担となって離職の一因となっていた。 現在のケアマネジャーの年齢構成では60歳以上が約30%を占めており、10年以内には担い手が急激に減少することが見込まれている状況の中で、今回の更新制廃止は人材確保の切り札として期待されている。
ケアマネ資格更新制廃止へ
厚労相「負担軽減を最優先」現場から歓迎の声続出 深刻な人材不足に歯止めかかるか
厚生労働省は2025年10月27日の社会保障審議会介護保険部会で、ケアマネジャーの資格更新制を廃止する方針を正式に提示し、大筋で了承を得た。上野賢一郎厚労相は2025年11月19日の衆議院厚生労働委員会で、廃止後の研修について「できるだけ負担を軽減する」と明言し、現場の声に応える姿勢を鮮明にした。
現行制度では5年ごとの更新研修受講が義務付けられており、これがケアマネジャーの大きな負担となって離職の一因となっていた。現在のケアマネジャーの年齢構成では60歳以上が約30%を占めており、10年以内には担い手が急激に減少することが見込まれている状況の中で、今回の更新制廃止は人材確保の切り札として期待されている。
研修は義務として継続 オンライン化で負担軽減へ
厚労省老健局の黒田秀郎局長は、資格更新と紐付けられた既存の更新研修は廃止されるが、研修を受講する義務は残ると説明した。ただし、負担軽減のため大幅な見直しを行う。
上野厚労相は研修の改革について、全国統一的な教材の作成、時間数の縮減、オンライン化の推進、任意のタイミングでの分割受講を実現すると表明した。5年間など長い期間をかけて、個々のケアマネジャーが自由なタイミングで研修を分割して受講していける環境をつくる計画も示された。
従来の更新研修では32時間の研修があり、1回でも欠席すれば認められないため、現場からは「負担が重すぎる」との声が相次いでいた。新しい制度では、こうした硬直的な運用を抜本的に見直す方向だ。
「5年ごとの更新が本当にストレスでした。これで安心して仕事を続けられます」
「研修は必要だけど、もう少し柔軟にならないかと思っていました」
「オンラインで受けられるなら、移動時間も節約できて助かります」
「分割受講ができれば、現場の業務に支障が出にくくなりそうです」
「更新の心配をせずに利用者さんに向き合える環境になってほしい」
施行時期は「速やかに」も準備期間確保が課題
更新制廃止の施行時期について、上野厚労相は「速やかに実施する必要がある」との認識を示した一方で、明確な時期は避けた。実施主体が都道府県であるため、十分な準備期間を確保する観点も大事として、関係者との十分な意見交換を経て実施時期を丁寧に検討したいと慎重な姿勢を見せている。
厚労省は2026年の通常国会に介護保険法などの改正案を盛り込む予定で、審議会が報告書をまとめる年末か、政府が国会に法案を提出する年明け以降に、施行時期を含む詳細が明らかになる見通しだ。
事業所減少に歯止めかかるか 人材確保は急務
居宅介護支援事業所数は6年連続で減少しており、2024年4月時点で3万6459件と、前年同期から738件も減少している。この背景には、ケアマネジャーの処遇の問題と更新制による負担が大きく関わっているとされる。
日本介護支援専門員協会の小林広美副会長は「5年ごとの更新が離職を決断するタイミングになっている」と指摘し、精神的な重圧を強調した。一方で、法定研修を分割すれば時間的な負担が軽減されるとして、今回の方針に賛成の意向を示している。
ただし、全国老人保健施設協会の東憲太郎会長からは「賃金の低さを是正しない限り、ケアマネの減少に歯止めがかからないのでは」との指摘もあり、処遇改善の必要性も同時に議論されている。
資格取得要件も緩和へ 多様な人材確保目指す
更新制廃止と合わせて、ケアマネジャーの受験に必要な実務経験も5年から3年に見直し、受験資格の対象となる法定資格に公認心理師や救急救命士も加える方針も示された。これにより、多様な背景を持つ人材の入職を促し、人材確保を図る狙いがある。
厚生労働省のシミュレーションによると、ケアマネジャーの人員は2025年までに2万7千人、2040年までに8万3千人が不足すると予測されており、資格取得のハードルを下げることで新規参入を促進したい考えだ。
今回の改革は、ケアマネジャーを取り巻く厳しい環境を改善し、利用者と向き合う時間を増やしてもらうことが最大の狙いとされている。高齢化が進む中で、介護の要となるケアマネジャーの確保・定着は喫緊の課題となっており、今回の制度見直しが現場にどのような変化をもたらすか注目される。