小嶋小百合の活動・発言など

「トランスジェンダー市議」小嶋小百合氏が差別発言を提訴、勝訴　名古屋地裁が17万円の賠償命令

小嶋小百合市議が差別発言を提訴、勝訴へ　「おっさんやないか」に17万円の賠償命令　名古屋地裁がジェンダー差別に一石 愛知県春日井市議会の小嶋小百合市議（71）は、自身のジェンダーに対する差別発言によって精神的苦痛を受けたとして、同じ市議会に所属する村上慎二郎市議（54）を相手取り損害賠償を求めて提訴していた。そして6月25日、名古屋地方裁判所（大竹敬人裁判長）は村上市議に対し、17万円の支払いを命じる判決を下した。 この訴訟は、地方政治の現場における“見えにくい差別”に光を当てた重要な事案として注目を集めていた。 >「おっさんやないか」「会派のみんなもそう思っている」 これは、今年1月19日の懇親会で村上市議が小嶋市議に向かって発した言葉だ。当時、村上市議は議長を務めており、小嶋氏と同じ会派に所属していた。発言は大声で繰り返されたとされ、場の空気も凍りついたという。 小嶋市議は出生時の性別は男性で、性同一性障害と診断された後、性別適合手術を受けて女性としての生活を送っている。トランスジェンダーであることを公にしながら政治活動を行い、これまで春日井市政の中でも多様性の象徴的存在として知られてきた。 だが、この発言によって小嶋氏は深く傷つき、動悸や不眠などの症状が現れ、自律神経失調症と診断。一時は休養を余儀なくされ、会派も離脱した。精神的ダメージは計り知れず、「これは明らかにジェンダー・アイデンティティーへの侮辱である」として訴訟に踏み切った。 裁判所はこの訴えを認め、村上市議の発言が人格権を侵害する不法行為であると認定した。求めた金額150万円には届かなかったものの、司法がトランスジェンダーの尊厳を明確に守る判断を下したことには、象徴的な意味がある。 >一番つらかったのは、自分の人間性を議場の仲間から否定されたと感じたことです 小嶋市議は判決後、周囲にそう語ったという。性別を超えた自己認識を貫き、地方政治の場で活動を続けてきた彼女にとって、今回の出来事は単なるハラスメントではなく、「存在を否定される行為」だった。 一方、村上市議は取材に対し、「面白いキャラクターを紹介するつもりだったが、反省している」と述べている。 SNS上では、「判決は当然」「被害が金額で測れない」「なぜ市議会でこんなことが起きるのか」など、小嶋氏に寄り添う声が広がっている。 今回の判決は、地方議会という公的な場でもトランスジェンダー差別が現実に存在することを社会に突きつけた。同時に、こうした差別に毅然と立ち向かった小嶋市議の姿勢が、多くの当事者や支援者にとって勇気となるだろう。 多様性のある社会は、一人ひとりの尊厳を土台に築かれるべきだ 司法の判断は、単なる慰謝料の支払い命令ではない。今後、地方自治体や議員たちが「人権意識」や「言葉の責任」をどこまで自覚できるかが問われる。