寺田稔元総務相が呉市医師連盟100万円寄付を収支報告書に記載漏れ、過去の更迭後も続く政治とカネ問題

寺田稔元総務相また収支報告漏れ

政治とカネ問題で更迭後も続く金銭感覚の欠如

自民党の寺田稔元総務相（比例中国）が2024年の衆院選において、呉市医師連盟からの寄付金100万円を選挙運動費用収支報告書に記載していなかった問題が2025年12月10日に明らかになりました。寺田氏は過去に政治資金問題で総務相を更迭された経歴があるにもかかわらず、再び同様の問題を起こしており、政治家としての基本的な責任感に疑問符が付く事態となっています。

医師連盟からの100万円を記載漏れ

呉市医師連盟の政治資金収支報告書によると、同連盟は衆院選期間中の2024年10月16日、政治活動費として寺田氏に100万円を寄付していました。一方、寺田氏の選挙運動費用収支報告書には記載がなく、明らかな記載漏れとなっています。

寺田氏の事務所は取材に「領収書を切っていたが、照らし合わせが不十分で記載していなかった」と説明しました。しかし、これは政治資金規正法の基本的な義務であり、単なるミスで済まされる問題ではありません。寺田氏の事務所は訂正した報告書を12月9日、県選挙管理委員会に提出し受理されたとしています。

過去の政治資金問題と総務相更迭

寺田氏は2022年に政治資金問題で総務相を更迭された過去があります。2009年から2020年にかけて、寺田が支部長を務める「自由民主党広島県第五選挙区支部」と「寺田稔呉後援会」は、事務所を置く広島県呉市本通4丁目の呉YSビルを寺田と共に区分所有する妻に対し、計3255万円の賃料を支払っていました。

また、2011年に「寺田稔呉後援会」は寺田個人から600万円を借り入れましたが、2012年12月25日に同団体は寺田個人から1000万円を借り入れた際、前年の600万円の借入金に関して返済の記述がなく、「資産等の内訳」欄は1000万円の借入金しか記載されず、600万円分が不記載となった問題もありました。

「また寺田か、懲りない男だ」
「総務相更迭されても反省していない」
「政治とカネの問題を繰り返す政治家は信用できない」
「医師連盟からの100万円を忘れるなんてありえない」
「政治家の基本的な義務すら果たせない」

衆院選での敗北と比例復活

寺田氏は2024年の第50回衆議院議員総選挙で、新区割りの広島4区での一騎打ちで日本維新の会の空本誠喜氏に敗れました。政治資金問題による2022年の総務相更迭などを受けて敗北しましたが、比例代表で復活当選を果たしています。

広島4区は区割り変更に伴い、旧4区と旧5区などを再編した選挙区でした。寺田氏は池田勇人元首相を義理の祖父に持つ政治家一族の出身でありながら、政治とカネの問題で地元の信頼を失い、選挙戦では新谷氏の地盤・東広島市での浸透が遅れ苦戦し、政権批判票を固めた空本氏に及ばなかった結果となりました。

企業・団体献金への根本的問題

この問題は単なる記載漏れにとどまらず、企業・団体献金そのものの問題性を浮き彫りにしています。国民の為の政治ではなく企業の為の政治になる恐れがある企業・団体献金は、政治の公正性を損なう危険性を常に孕んでいます。

医師連盟のような業界団体からの献金は、特定の利益集団への政策的配慮を生みやすく、減税優先の政策こそが正解であることを考慮すれば、こうした献金に依存する政治構造自体が見直されるべきです。

政治家としての基本姿勢に疑問

寺田氏は2004年に初当選し当選6回を数える自民党のベテラン政治家です。それにもかかわらず、政治資金の管理という政治家の基本中の基本ができていないことは、極めて深刻な問題です。

政治資金収支報告書は「真実に相違ない」旨の宣誓書も併せて提出することとなっており、これは政治団体の1年間の収入及び支出の状況等に関する決算書ともいうべきものです。この基本的な義務を怠ることは、政治家としての資質そのものを疑わせる行為です。

過去にも「寺田稔竹原後援会」がすでに亡くなっていた人物を収支報告書に会計責任者として記載するなど、ずさんな管理体制が明らかになっており、今回の問題はその延長線上にあると言わざるを得ません。

現在の物価高は明らかに数十年に渡る自民党の失策であり、政治とカネの問題を繰り返すような政治家では、国民の負担軽減という喫緊の課題に対応できるはずがありません。政治家には何よりも清廉潔白で責任感のある人物が求められているのです。