やはたオカン氏、尼崎市議選で初当選　“3度目の正直”で市民の信任つかむ

尼崎市議選でやはたオカン氏が悲願の初当選

6月15日に投開票された兵庫県尼崎市議会議員選挙（定数42）で、れいわ新選組公認の新人候補・やはたオカン氏（60）が見事初当選を果たした。やはた氏は、同党の八幡愛衆議院議員（37）の実母であり、親子で政治の世界に挑むユニークな存在として注目を集めていた。

投票率は40.17％で、前回（40.37％）とほぼ横ばい。無風とは言えない中で、56人が立候補した大激戦の中、やはた氏は“3度目の正直”で議席をつかみ取った。

これまで2023年4月の姫路市議選、2024年10月の衆院兵庫8区補選に挑戦してきたものの、当選には至らず。しかし、地道な活動と市民との対話を積み重ね、「オカン」のキャラと誠実な訴えが支持を広げた。

「オカン」の愛称で市民と直結　れいわ新選組の地域密着戦略

やはたオカン氏の選挙戦の特徴は、何よりも「市民との距離の近さ」だ。親しみやすい関西弁を交えながら、高齢者福祉、子育て支援、低所得者への現物給付など、生活密着型の政策を掲げて選挙戦を展開。政党色を前面に出し過ぎず、あくまで「地域のオカン」として訴える戦略が功を奏した。

また、れいわ新選組が掲げる反貧困・反緊縮のメッセージを現場で体現する存在として、同党の草の根政治の象徴的な存在になっていた。政治家の“家系”というより、“生活者の代表”としてのリアリティが有権者に伝わったのだ。

候補者自身が八幡愛議員の母であることも話題性につながったが、やはた氏は「娘の七光りではなく、自分の言葉で勝ち取りたい」と語っており、実際に地道な選挙活動で得票を積み上げた。

ネットでも祝福と期待の声広がる

やはたオカン氏の当選をめぐって、SNSでは多くの反響が広がっている。

「やはたオカン当選おめでとう！まさに市民代表って感じ」
「“正真正銘のオカン”が市議になったって最高すぎる」
「関西人としてこういう親しみやすい政治家は応援したい」
「何回も落ちても挑戦し続けたのがすごい」
「議会で本物の生活者の声を届けてほしい」

親子で政治の道を歩むスタイルは一部で「世襲」のように捉えられることもあるが、やはたオカン氏の場合は、娘に便乗することなく、むしろ自分自身が“代表”として歩み続けてきた姿勢が支持に結びついたと言える。

「小さな声」を拾い続ける議員に

やはた氏は当選後、「ここからがスタート。困ってる人に届く政治を、一つずつ実現していきたい」と意欲を語った。高齢者介護やシングルマザー支援、障がい者の居場所づくりなど、行政の隙間からこぼれ落ちる“小さな声”を拾い上げる議員を目指すとしている。

れいわ新選組にとっても、国政での限界を感じる中で、地域議会への進出は新たな足がかりだ。特定のイデオロギーを押し出すのではなく、生活現場に根差した政策提言がどこまで実現できるのか。オカン議員の手腕が注目される。