2025-08-05 コメント投稿する ▼
埼玉・行田市マンホール転落事故 中野国交相「事故原因踏まえ必要な対応を検討」
4人死亡の重大事故、緊急点検中に発生
8月2日、埼玉県行田市で下水道管の点検作業をしていた作業員4人がマンホール内に転落し、全員が死亡する重大事故が発生した。事故が起きたのは、今年1月に埼玉県八潮市で起きた大規模な道路陥没事故を受け、国土交通省が全国の自治体に要請した緊急点検の作業中だった。
国交省によると、緊急点検は老朽化や地盤の異常による事故を未然に防ぐため、全国の下水道施設や道路構造物を対象に行われていた。今回の事故は、その安全確保を目的とした作業の最中に発生したという皮肉な結果となった。
中野国交相、安全対策徹底を全国に通知
中野国土交通大臣は5日の閣議後会見で、「全国の下水道管理者に対し、作業者の安全を最優先し、換気や転落防止などの安全対策を十分に実施するよう周知した」と述べた。すでに4日付で全国の自治体に安全対策の徹底を求める通知を行ったことも明らかにした。
特に下水道の点検や補修作業は、硫化水素などの有毒ガスによる中毒や、酸欠、転落といった危険が伴う。国交省はこれまでも安全管理マニュアルを示してきたが、今回の事故を受け、現場での実効性や遵守状況を再確認する必要があると判断した。
事故原因を踏まえ必要な対応を検討
中野大臣は、「国土交通省として、今回の事故の原因を踏まえ、再発防止に向けて必要な対策を講じていきたい」と強調。作業現場で転落防止措置が講じられていたか、換気作業が十分に行われていたかといった基本的な安全手順の実施状況を含め、事故原因を精査した上で対応を検討する考えを示した。
「作業員の命を守るためには、手順や設備があっても“実際に現場で機能しているか”を確認する必要がある」
「安全第一という言葉が形骸化してはならない」
過去の類似事故と課題
下水道作業における事故は過去にも繰り返されている。特に硫化水素による中毒事故は致死率が高く、数分以内に意識を失う危険がある。2017年には福岡県で作業員3人が死亡した事故があり、原因は換気不足とされていた。
また、マンホール内は狭く、出入り口が限られるため、救助活動も困難だ。今回の行田市の事故でも、救出作業は難航したとされ、救急搬送時には全員が心肺停止状態だったという。
専門家は「作業手順書の遵守や機器の整備だけでなく、現場責任者による安全確認、複数人による監視体制の確立が不可欠」と指摘する。
SNSの反応
「安全のための点検作業で命を落とすなんて、本末転倒」
「硫化水素や酸欠は本当に危険。現場の声をもっと聞くべき」
「安全管理の徹底は書類だけじゃ意味がない」
「全国で同じ作業をしている人たちが不安になる」
「再発防止策は早急に示してほしい」
今後の対応と再発防止への道
今回の事故を受け、国交省は全国の自治体に対し、点検作業の事前計画段階から危険予知活動(KYT)の徹底を求める見通しだ。これにより、現場での危険要因の洗い出しと共有、事故発生時の救命手順の確認を強化する狙いがある。
また、転落防止柵や安全帯の使用、換気装置や酸素濃度計・ガス検知器の常時使用など、基本的な安全装備の義務化や、実施状況の監査制度導入も検討される可能性がある。
行田市の事故原因の究明と並行して、同様の作業に従事する全国の作業員の安全確保が急務となっている。中野大臣が掲げた「事故原因を踏まえた必要な対応」が、単なる形式的対策に終わらず、現場の命を守る実効性ある施策になるかが問われる。