2025-06-17 コメント投稿する ▼
【2028年から踏み間違い防止装置を新型車に義務化】高齢者事故対策で国交省が安全基準を改正
2028年9月から国産新型車に義務付け 輸入車は1年遅れで対応
国土交通省は6月17日、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故を防ぐため、自動車の安全装置の義務化に踏み切ると発表した。道路運送車両法の保安基準を改正し、2028年9月以降に型式指定を受ける国産の新型オートマチック車に、誤操作を防ぐ「踏み間違い防止装置」の搭載を義務化する。輸入車は1年遅れの2029年9月から対象となる。
対象はあくまで新型車で、既存車の買い替えや改修義務はないが、国として「高齢者による誤操作事故ゼロ」に向けた一歩といえる。国交省は「事故の約6割が高齢者によるものであり、社会的課題として重く受け止めている」と説明した。
「高齢の親に安心して運転させられるようになるのはありがたい」
「事故が減るなら当然。もっと早く義務化すべきだった」
「マニュアル車は免除って、時代と逆行してない?」
既に9割の国産車に装備済み メーカー対応はほぼ完了済
今回の義務化による自動車メーカーへの影響は限定的だ。国交省によれば、2023年時点で国産オートマチック車の9割以上に同様の誤操作防止機能が搭載されており、「すでに実質的には標準装備化している」との見方も強い。
特にトヨタや日産、ホンダといった大手メーカーでは、軽自動車からミニバン、SUVまで幅広い車種に同装置を導入済み。一方で、輸入車は日本基準に対応した安全装備への切り替えに時間がかかるとされ、1年の猶予期間が設けられた。
装置の要件としては、車両前方1.0~1.5メートル以内に障害物がある場合、ドライバーがアクセルを全開にしても急発進せず、時速8キロ未満の速度に抑える仕様を義務付ける。つまり、「うっかり踏み間違えても暴走しない車」が今後のスタンダードになる。
「速度制限がつくのは安心。けど、駐車のときに邪魔にならないか心配」
「高齢ドライバーに限らず、初心者にもありがたい装備」
マニュアル車は義務対象外 運転技術前提の「特例扱い」
なお、踏み間違いが起きにくいとされるマニュアル車(MT車)は義務化の対象外とされた。国交省は「ペダル操作の構造上、MT車では踏み間違いによる暴走リスクが少ない」として、装置の必要性は薄いとの判断を示した。
しかし近年は、若年層を中心にMT車の免許取得率が減少しており、「MT車=高い安全性」という考え方には現場との乖離もある。専門家の間では、「MT車こそ運転技術に依存するため、高齢者が選ぶ車としては不向きでは」との指摘もある。
今後は、高齢ドライバーの免許返納制度や、サポカー限定免許との連携といった政策的な整合性が求められる。
「MTは操作が複雑だから安全って話は本当か?」
「自動ブレーキだけじゃ足りない。包括的な安全装備義務化が必要」
義務化はゴールではない 社会全体で高齢者事故をどう減らすか
高齢ドライバーによる事故が社会問題化して久しいが、今回の装置義務化はようやく打たれた本格的な政策対応のひとつといえる。しかし、装置があっても「無理な右折」や「赤信号での突入」など、別のリスクをゼロにはできない。
今後は、免許制度の見直し、更新時の認知機能検査強化、自動運転車の普及促進など、装置義務化にとどまらない多面的な対策が必要とされる。高齢者の尊厳を守りつつ、交通安全とどう両立させるか――社会全体が問われている。