2025-10-17 コメント投稿する ▼
国交省がEVモーターズに異例の立入検査 中国製バス35%に不具合で隠蔽疑惑
同社は9月9日から12日までのわずか4日間で全国の点検を実施したと報告しましたが、複数のバス事業者から不審な証言が寄せられています。 2024年には185台、2025年は3月末までに74台と急速に台数を増やしています。 大阪メトロは2025年10月22日、「お客さまの安全を第一に考え」森之宮・京橋周遊バスの運行を当面休止すると発表しています。
同社が全国の交通事業者に納車した電気バス317台のうち、35%にあたる113台で不具合が確認されたという事実だけでも驚きですが、さらに深刻なのは隠蔽された不具合が多数存在する疑いです。公共交通を支える安全の根幹が脅かされています。
総点検で露呈した異常事態
国交省は2025年9月3日、同社に対し317台すべてのバスを点検するよう指示しました。同社は9月9日から12日までのわずか4日間で全国の点検を実施したと報告しましたが、複数のバス事業者から不審な証言が寄せられています。
関西のバス事業者は「EVモーターズ・ジャパンは深いところまで見ていない」と指摘しています。午後から別の事業者を回るため簡単に済ませた印象だといいます。4日間で全国113台の不具合を発見するスケジュールは、物理的にも人員的にも無理があったと言わざるを得ません。
不具合の内容も深刻です。ブレーキホースの損傷や開閉ドアのゴムクッションが外れるといった事例が報告されており、設計上の欠陥でハンドル部品がブレーキホースに接触して摩耗・損傷する車両もありました。ブレーキホースは重要保安部品であり、損傷すれば人命に直結する重大事故につながりかねません。
隠蔽疑惑が浮上
複数のバス事業者が共通して指摘しているのは、点検現場で確認した不具合が国交省への報告に含まれていなかったという事実です。総点検以前から自動ドアの開閉不良、走行中の突然停止、モーターフランジの破断など深刻な問題が続出していました。
2025年9月1日には大阪市内を走るオンデマンドバスでハンドルを左に切ったのにバスが右に進んで中央分離帯に激突する事故が発生しています。ドライブレコーダーの映像がこの異常な挙動を記録しており、運転士の操作ミスではないことは明白です。
同社が扱う中国3社製のバスは、2023年から本格的な納車が始まりました。2024年には185台、2025年は3月末までに74台と急速に台数を増やしています。しかし、大半が新車から2年も経過していない状態で35%もの不具合が発生するのは極めて異常です。
大手交通事業者が続々と運行停止
国交省の立入検査報道を受けて、大阪メトロや伊予鉄バス、大阪府が相次いで同社製バスの運行休止を発表しました。大阪メトロは2025年10月22日、「お客さまの安全を第一に考え」森之宮・京橋周遊バスの運行を当面休止すると発表しています。
伊予鉄バスも10月24日までに小型電気バス2台の使用休止を決定しました。同社は2022年に同社へ出資し業務提携を結んでおり、大株主として20台以上を導入してきた経緯がありますが、安全性確保を優先する判断を下しています。
大阪府も南河内地域で2025年11月から開始予定だった自動運転バスの実証実験を延期すると発表しました。2026年4月から3年間で運転手不要の「レベル4」導入を目指していましたが、目標時期の見直しも視野に入れています。
補助金目当ての急速納車か
同社のバスは補助金申請に間に合うよう納車を急いだ結果、日本での確認作業や走行テスト、品質管理が十分にできていない状況のまま公道を走り始めたとの指摘があります。表示が中国語のままの部分があり、運転席の座り心地も最悪だといいます。
納車台数を見ると、2022年は3台でしたが、2023年は50台、2024年は185台と急増しています。質より量を優先した結果が今回の事態を招いたと言えるでしょう。
公共交通機関のバスは多くの人命を預かる乗り物です。利用者はバスを選んで乗ることはほぼできません。国交省は今回の立入検査結果を厳格に精査し、必要であれば運行停止命令も辞さない姿勢で臨むべきです。人命最優先の判断が求められています。