2025-09-01 コメント投稿する ▼
国交省、バリアフリー化ホーム4000カ所へ倍増 2030年度までに段差・隙間解消を推進
国交省、バリアフリー化ホームを2030年度までに4000カ所へ
国土交通省は2030年度末までに、鉄道車両との段差や隙間を解消したホームを現在の約2000カ所から倍増し、4000カ所に拡大する方針を示した。車いす利用者や高齢者がより安全に乗降できるようにするためで、バリアフリー法に基づく基本方針を改正し、具体的な数値目標として位置づける。
同省は1日当たりの利用者数が3000人以上の駅を中心に、ホームドアの設置を原則化する方針だ。視覚障害者らの転落防止を強化し、鉄道の安全性をさらに高める狙いがある。また、改札機についても車いすが通行できる幅広タイプの設置を進め、主要駅を中心に段階的に導入する。
バス・船・空港でもバリアフリー拡充
鉄道に加え、バスターミナルや船舶ターミナルなどでも基準を強化する。これまで段差解消の対象は「1日利用者3000人以上の施設」に限られていたが、今後は「2000人以上の全施設」に拡大する方針だ。これにより都市部だけでなく地方部でも対策が加速するとみられる。
さらに、利用者2000人以上の旅客船ターミナルでは点字ブロックや音声案内の設置を進めるほか、地方空港ではリフトやスロープが付いた連絡バスの割合を現在の41%から2030年度までに60%へと引き上げる。交通インフラ全体でのバリアフリー推進を図る。
「車いす利用者にとって段差や隙間は最大の障害だ」
「ホームドアの設置が進めば転落事故も減るはず」
「地方の駅や港も取り残さず対応してほしい」
「空港バスのバリアフリー率41%は低すぎる」
「数字だけでなく実際に使いやすさを実感できる整備を」
急務となる地方部での対応
都市部ではホームドア設置や段差解消が一定程度進んでいる一方で、地方部では予算や利用者数を理由に整備が遅れてきた。高齢化や人口減少が進む地域ほど公共交通に依存する傾向が強く、地方の利用者からは「都会と同じレベルの安全性と利便性を確保してほしい」との要望が根強い。
今回の国交省の目標設定は、こうした声に応える意味も大きい。ただし、鉄道会社や自治体の負担は重く、財源確保が課題となる。補助制度の拡充や国の直接的な関与が不可欠とみられる。
交通インフラ全体のバリアフリー化と課題
段差や隙間の解消は、単なる利便性の向上ではなく、安全性の確保に直結する。視覚障害者の転落事故や高齢者の転倒は社会的にも大きな問題であり、国として取り組みを加速させる意義は大きい。
石破茂首相の政権下で進められる今回の施策は、2030年度という期限を設けることで、鉄道・バス・船・空港を含めた交通インフラ全体のバリアフリー化を一段と進めるものとなる。ただし、数値目標が実際に利用者の安心につながるかどうかは、整備の質や地域格差是正の取り組みにかかっている。