2025-06-17 コメント: 1件 ▼
ガソリン税減税案を封じた与党に野党が反発 財金委員長の解任決議で国会機能の危機浮き彫り
ガソリン減税法案、審議拒否で野党が委員長解任へ 問われる国会の責任と機能不全
野党7党が提出したガソリン暫定税率の廃止法案をめぐり、自民党の井林辰憲・衆院財務金融委員長が委員会の開催に応じなかったことを受け、立憲民主党をはじめとする野党は17日、井林委員長の解任決議案を共同で提出する方針を固めた。ガソリン価格高騰への即効性ある対策として期待された法案は、審議すらされないまま棚上げされ、国民生活の実情と国会の温度差が一層際立つ形となっている。
ガソリン税廃止法案、与党が審議を拒否
今回の法案は、野党7党が一致して提出したもので、ガソリンの暫定税率を7月から廃止する内容を盛り込んだ。物価高が続く中、ガソリン価格の直接的な引き下げを実現し、家計・物流業界を支援することを目的としている。
しかし、自民党を中心とした与党側は「代替財源の議論が不十分」「ガソリンスタンドにおける差損(在庫の価格変動)への対策がない」などの理由を挙げ、委員会の開催を拒否。これに対し、野党は「国民生活の切迫感に応えようとしない政府・与党の姿勢は無責任だ」と強く反発し、財務金融委員会の場を封じる委員長の対応に対し、解任を求める動きに出た。
「減税法案が通れば困るから審議拒否してるようにしか見えない」
「国民が苦しんでるのに、話し合いすら拒否って何様?」
「差損って…だったら補填すればいい。審議してから決めろ」
「委員会を開かせないなんて、もはや国会の自殺行為」
「解任は当然。議会を私物化してる連中に鉄槌を」
国民生活そっちのけの政治判断に不信広がる
今回の法案は、暫定的な税率を本来の水準に戻すのではなく、期限付きでも廃止しようとするもので、燃料価格の直接的な引き下げを狙った、きわめて現実的な政策だった。とくに地方や物流業界、子育て世代など、日々の移動にガソリンが不可欠な層にとって、減税は即効性のある支援となる。
しかし、政府・与党は給付金や補助金といった手法を優先し、「一時的な人気取り」に終始している。現金給付は事務負担が大きく、支給までに時間がかかるうえ、物価上昇が続く現状では焼け石に水となりがちだ。一方の減税は、購入時点で直接的な負担軽減を実感できる。しかも事務コストも低く、全世代に恩恵が広がる点で、より公平性のある政策といえる。
にもかかわらず、政府・与党が減税に踏み切れない背景には、「税収の確保」や「選挙目当てのバラマキとの整合性」があるとみられる。だが、その結果として「政策ではなく手続きそのものを止める」という手段に出るならば、政治不信は決定的なものとなる。
委員長解任という非常手段が意味するもの
国会では、委員長の解任決議案提出は極めて異例な手段だ。与党多数の現状では可決の可能性は高くないが、それでも野党が提出に踏み切ったのは、「国会を無力化する動き」に対する強い危機感があるからだ。
委員会開催の拒否は、単なる政治的対立ではない。議会制民主主義において、立法府は国民の声を吸い上げ、政府の行動を監視する機能を担っている。その機能を、手続き上の都合や政局判断で止めるような事態が常態化すれば、国会の意味そのものが失われかねない。
また、委員長という立場は、本来「公正中立」であるべき存在だ。所属政党の利益を超えて、議論の場を提供するのがその使命である。井林委員長がその職責を放棄したとすれば、解任という手段は「当然の対抗措置」といえる。
ガソリン減税は是か非か 問われるのは審議の覚悟
仮に今回の法案に課題があるとしても、それを明らかにし、修正し、よりよい形に仕上げるのが「審議」という過程だ。最初から門前払いし、議論の俎上にすら載せないやり方がまかり通るなら、もはや立法府としての責任を放棄しているといっても過言ではない。
政治家は、選挙で「国民の暮らしを守る」と訴えて票を得た以上、その約束を実行する責任がある。いま求められているのは、政争ではなく、生活と現実に即した議論だ。解任決議という形で問われているのは、井林氏個人ではなく、国会そのものの姿勢である。