2025-06-16 コメント投稿する ▼
児童扶養手当の「所得制限の壁」を引き上げへ 立憲民主党が法案提出、就労促進と子育て支援を両立
ひとり親家庭を支える恒久支援へ 立憲が法案提出
立憲民主党は6月16日、低所得のひとり親家庭への経済的支援を強化するため、「児童扶養手当『所得制限の壁』引上げ法案」を衆議院に提出した。正式には「児童扶養手当法の一部を改正する等の法律案」で、所得制限の引き上げと手当の増額を柱にしている。
本法案では、就労を妨げていると指摘されてきた「所得制限の壁」を大幅に引き上げる。具体的には、児童扶養手当が一部支給となる世帯の上限を年収385万円から590万円に、全額支給の対象世帯も190万円から385万円に引き上げる想定だ。
また、手当の受給額についても、すべての対象世帯に対して子ども1人あたり月額1万円の一律増額を盛り込んだ。急激な物価高にさらされている子育て家庭への「底上げ」支援となる。
「一生懸命働いても、所得が増えると手当が打ち切られてしまう。これでは努力が報われない」(大西健介・衆院議員)
法案の筆頭提出者であり、立憲の「子ども・若者応援本部長」を務める大西氏は、提出後の記者会見でこう語り、今回の法案が就労促進と支援制度の両立を目指すものであると強調した。
“働き控え”の現実と向き合う
児童扶養手当は、ひとり親家庭にとって命綱とも言える制度だ。しかし現在の制度では、収入が一定額を超えると手当が支給停止となり、医療費助成など関連する公的支援も一斉に打ち切られてしまう。
この“所得制限の壁”が、ひとり親家庭の就労意欲や社会参加を阻む大きな障害となっており、かねてから制度の見直しを求める声が高まっていた。
「児童扶養手当は、他の支援制度にもアクセスできる“パスポート”のような存在。支援を途切れさせない仕組みが必要です」(高木真理・参院議員)
高木議員は記者会見で、制度の見直しは一時的な給付ではなく、恒久的な支援として取り組むべきだと語り、各党が連携して超党派での成立を目指す姿勢を示した。
専門家も法案支持 「実効性ある支援を」
この日の記者会見には、子どもの貧困対策に取り組む専門家や支援団体も同席。
日本大学教授で「あすのば」理事の末冨芳氏は「多くのひとり親家庭がギリギリの生活をしている現実を考えれば、支援のあり方を抜本的に見直す時だ」と述べた。
また、「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」理事の小森雅子氏や、NPO法人キッズドアの渡辺由美子理事長も、制度の恒常化に期待を寄せ、「子育て家庭が将来を描けるような制度を」と訴えた。
提出議員は計13名 野党連携にも期待
今回の法案提出には、大西健介氏をはじめとする13名の立憲民主党衆院議員が名を連ねた。山井和則、柚木道義、早稲田ゆき、池田真紀、堤かなめら、いずれも子育て支援や福祉政策に力を入れている議員たちだ。
さらに、高木真理・奥村政佳両参院議員も法案提出に同席し、今後の国会審議や与野党協議への積極関与を表明した。
政府はこれまで「検討中」との姿勢にとどまっていたが、今国会では「年収の壁」が大きなテーマとなっており、児童扶養手当の見直しも議論の俎上に上がることが確実視されている。