2025-05-09 コメント投稿する ▼
日本学術会議法案、衆院内閣委で可決 学問の自由と独立性めぐり賛否分かれる
日本学術会議法案、衆院内閣委で可決 独立性をめぐる懸念広がる
2025年5月9日、日本学術会議を「国の特別の機関」から「特殊法人」に移行させることを柱とする日本学術会議法案が、衆議院内閣委員会で賛成多数により可決された。この法案に対し、立憲民主党は「学問の自由を脅かし、学術会議の独立性を損なう恐れがある」として反対を表明した。
法案の背景:政府の関与強化に懸念
この法案は、2020年に当時の菅義偉首相が学術会議会員候補6人の任命を拒否したことが発端となり、その後の政府による組織改革議論を経て提出された。政府は学術会議の効率性と透明性の向上を掲げたが、学問の自由や学術会議の独立性を脅かすとの声が強まっている。
新法案では、学術会議の組織を「特殊法人」とし、監事や評価委員会を首相が任命する仕組みを導入する。また、会員選考に関与する複数の組織が新設され、政府が学術会議の人事や活動計画に関与できる構造が明確化された。これに対し、学術界からは「政府の意向に左右されることになり、独立性が失われる」との批判が相次いでいる。
学術界と法曹界からの反発
法案の可決に対し、学術界や法曹界からも反対の声が広がっている。日本学術会議自身は先月、「ナショナル・アカデミー」としての要件を満たしていないとして、法案の修正を求める決議を採択した。また、全国の学会や法曹団体も声明を発表し、憲法で保障される「学問の自由」を守るべきだと主張している。
特に、学術会議の元会長である梶田隆章氏は「政府が学術会議の活動に干渉し、学問の独立性が脅かされる危険がある」と強調。一方、金沢弁護士会は法案を「憲法23条に反する可能性がある」と警告し、法曹界からも慎重な審議を求める声が上がっている。
今後の展望と国会での議論
この法案は今後、参議院での審議に移る。立憲民主党は「学問の自由」と「独立性」を確保するための修正提案を行う方針を明らかにしている。また、他の野党も政府の介入を抑える方向で法案の見直しを求めていく見込みだ。
日本学術会議法案をめぐる論争は、学問の独立性や政府との関係性の在り方を問う象徴的な議題となり、今後の国会での議論に注目が集まる。