高市早苗新総裁、人事の要に梶山弘志　国会運営の要で安定重視の布陣

高市新総裁、人事の要に梶山氏を起用】
自民党の高市早苗総裁は10月7日、新しい党執行部を発足させます。注目を集めているのは、国会対策委員長に梶山弘志元経済産業相（69）を起用する方針を固めたことです。梶山氏は茂木派の重鎮で、経験豊富な調整型の政治家として知られています。

高市総裁は、派閥間のバランスを意識しつつも、自身の政策を着実に進める実務型人事を選びました。党内からは「派閥のしがらみを抑えた安定重視の布陣」と評価する声が上がる一方、「刷新感に欠ける」との見方も出ています。

実務派・梶山氏の持ち味

梶山弘志氏は、地元・茨城で長く政治基盤を築き、父・梶山静六元官房長官の薫陶を受けた生粋の“政治職人”です。衆院当選8回を誇り、経済産業相や内閣官房副長官などを歴任。実務の積み重ねで信頼を得てきました。

「地道に調整し、決めるべきことは決める」
「目立たなくても、現場を動かすのが自分の仕事」
「国会対策は、数より信頼が大事だ」
「高市新体制の基盤を支える覚悟で臨む」
「対立ではなく調和の政治を目指したい」

この5つの言葉に、梶山氏の姿勢が表れています。派手さよりも誠実さ、主張よりも実行。そんな政治観が評価され、今回の重責に選ばれたと見られます。

旧茂木派の信頼と再生

梶山氏は、総裁選で茂木敏充前幹事長の選対本部長を務めた中心人物です。茂木派はこれまで裏金事件で大きな痛手を負いましたが、組織の立て直しに向けて「再生の顔」として期待されています。高市総裁があえて同派から重要ポストを任せたのは、融和と実務の両立を重視した結果だといえます。

梶山氏は、派閥の利害を超えて調整できる数少ないベテランでもあります。国対委員長として、野党との交渉や国会運営のかじ取りを担う立場にありますが、これまでの人柄と経験から「安定の人事」として評価が高いです。

一方で、梶山氏を起用したことで「高市カラーが薄まるのでは」という声もあります。高市総裁は強い発信力を持つ一方、党内の結束が課題とされてきました。その橋渡し役として梶山氏がどこまで力を発揮できるかが、政権運営の鍵を握ります。

政治の空気を変えるか

今回の執行部人事では、幹事長に鈴木俊一氏、副総裁に麻生太郎氏、政調会長に小林鷹之氏を据える案が固まっています。その中でも、国会運営を支える国対委員長の重みは特別です。国会が混乱すれば、どんな政策も進みません。高市総裁がそのポストを梶山氏に託したことは、政権を支える「地盤の整備」を最優先にした証といえます。

党内には、梶山氏が持つ“調和型リーダー”としての資質に期待する声が広がっています。対立よりも対話を重んじ、誠実に話を聞く姿勢は、多くの議員や職員から信頼を集めています。政治家として派手な発言は少ないものの、その分「静かな実力者」としての存在感を放っています。

新体制の行方

高市総裁が掲げる「積極財政」や「国内投資の拡大」は、国会運営と連動しなければ実現しません。梶山氏がそのパイプ役を務めることで、政府と党の連携がより強まると期待されています。

一方、国民の目線から見れば「派閥復活のようだ」との懸念もあります。ドロ船政権と揶揄される旧来の連立構造を脱するには、行動で示すしかありません。梶山氏が実務を通じて「地味でも信頼できる政治」を再び根付かせることができるか、注目が集まっています。

新体制が安定と刷新の両立をどう実現するのか。その試金石は、梶山弘志氏の手腕にかかっています。