2025-11-21 コメント投稿する ▼
鳥インフルエンザ等家畜防疫対策本部が情勢踏まえた法制度検討、豚熱・アフリカ豚熱拡大でワクチン導入も視野
会議では、冬期の鳥インフルエンザ発生ピーク、鹿児島県でのイノシシ豚熱ウイルス検出、台湾でのアフリカ豚熱初確認といった深刻な情勢を踏まえ、抜本的な法制度改正の検討が急がれることが確認されました。 九州では福岡、佐賀、長崎、宮崎の4県で野生動物の感染が確認されており、鹿児島県の感染確認により九州全域への拡大が懸念されています。
冬期ピークの鳥インフルエンザ対策強化
鳥インフルエンザの発生は例年10月から翌年4月にかけて冬期にピークを迎えます。2025年度も10月下旬の北海道での発生を皮切りに、11月には新潟県で相次いで感染が確認されており、本格的な流行期に突入しました。
農林水産省によると、欧米諸国でのワクチン開発や接種に向けた動向を踏まえ、わが国での導入の是非を含めた検討を行っていく方針を示しました。従来は発生農場での殺処分が基本対策でしたが、世界的な感染拡大を受けて防疫戦略の見直しが迫られています。
東京大学などの研究では、mRNAワクチンが牛由来の高病原性H5N1ウイルスに対して高い防御効果を示すことが確認されており、技術的な基盤は整いつつあります。しかし、ワクチン使用には適切なサーベイランスと感染鶏群の摘発淘汰の併用が必要で、継続的な使用によるウイルス常在化のリスクも指摘されています。
「ワクチンも検討すべき時期でしょう」
「毎年同じことの繰り返しで限界を感じます」
「欧米が導入するなら日本も考えないと」
「殺処分だけでは畜産業が持ちません」
「予防接種で被害を減らせるなら賛成です」
鹿児島で40年ぶりの豚熱確認
2025年11月19日、鹿児島県は霧島市で発見された野生イノシシから豚熱ウイルスが検出されたと発表しました。県内での豚熱感染確認は1985年以来40年ぶりで、野生イノシシでは初めてとなります。
塩田康一知事は対策本部会議で「養豚場への侵入を防ぐため、衛生管理基準の順守徹底に万全を期していく必要がある」と述べ、緊急防疫対策に乗り出しました。発見地点から半径10キロメートルの区域で野生イノシシの捕獲と検査を強化するとともに、ワクチン入りのエサを緊急散布する方針です。
九州では福岡、佐賀、長崎、宮崎の4県で野生動物の感染が確認されており、鹿児島県の感染確認により九州全域への拡大が懸念されています。豚熱は豚やイノシシに感染する家畜伝染病で、人には感染しませんが、感染した家畜の致死率が高く、畜産業への影響は深刻です。
台湾でアフリカ豚熱が初確認の衝撃
2025年10月25日、台湾で初めてアフリカ豚熱の感染が正式に確認されました。台中市の養豚場で死んだ豚の検体から陽性反応が出たもので、台湾当局は国際獣疫事務局に通報し、豚肉の輸出を一時停止しました。
台湾は2025年5月に国際獣疫事務局から豚熱の清浄地域に認定されたばかりで、アフリカ豚熱や口蹄疫を含む三大感染症がない地域として豚肉輸出拡大を目指していました。しかし、今回の感染確認により、日本向け輸出計画の見通しが不透明になりました。
アフリカ豚熱は有効なワクチンや治療法がない致死率の高い伝染病で、アジアでは日本以外のほぼ全ての国で発生が確認されています。台湾での初確認は、日本への侵入リスクの高まりを意味しており、水際対策の一層の強化が急務となっています。
情勢を踏まえた法制度検討へ
葉梨本部長は会議の冒頭で、これら一連の家畜防疫情勢を踏まえ、「情勢を踏まえた法制度を検討していく方針」を表明しました。現行の家畜伝染病予防法では対応に限界があり、ワクチン使用の法的位置づけや野生動物対策の強化、水際検疫体制の充実などを含む包括的な法改正が検討される見通しです。
特に鳥インフルエンザについては、従来の殺処分中心の対策から、ワクチンを活用した予防的防疫への転換が焦点となります。欧米諸国では既にワクチン使用が検討されており、日本も国際的な動向を踏まえた対応が求められています。
今後の法制度検討では、畜産業の経済性と公衆衛生の確保を両立させる実効性のある防疫体制の構築が課題となります。野生動物と家畜の接触防止、早期発見・早期対応システムの整備、そして国際的に調和した防疫基準の策定が急がれます。