2025-06-08 コメント投稿する ▼
岸田前首相が石破政権の内閣不信任案対応に言及 「判断を尊重するしかない」と発言の真意とは
内閣不信任案に「首相判断を尊重」 岸田前首相がコメント
自民党の岸田文雄前首相は6月8日、フジテレビの報道番組に出演し、立憲民主党など野党が今国会中に内閣不信任決議案を提出する可能性に言及。これに対して「石破茂首相が政治生命をかけて判断する話だ。私たちはその判断を尊重するしかない」と語った。
発言は一見、慎重かつ穏やかなトーンだが、政権内部にある微妙な距離感や、今後の衆院解散・総選挙の可能性に対する複雑な思惑が透けて見える内容となった。
「解散は首相の専権」強調も、与党内に温度差
岸田氏は「衆院解散は首相の専権事項であり、その判断を誰も覆すことはできない」としたうえで、「それが政治生命をかけた決断になることは、私もかつて経験した」と自身の首相時代の記憶を重ねて説明。だがその一方で、石破政権の政治的立場について直接的な肯定は避け、あくまで「尊重する」という形で発言を切り上げた。
自民党内では、内閣不信任案への対応をめぐって意見が分かれている。とりわけ、石破政権が掲げる「クリーンな政治改革」と「超党派対話路線」が、岸田氏のような党内中道層と必ずしも一致していないとの指摘もある。
総選挙は「積み上げ次第で微妙な戦いに」
岸田氏はまた、仮に衆院解散・総選挙となった場合の見通しについても言及。「与党の議席が増えるかどうかは、一つ一つの選挙区情勢の積み上げによる。全体としては非常に微妙な戦いになる」と語り、楽観視を否定した。
特に、「野党がどこまで候補者調整を進めるか次第で、勝敗の構図は大きく変わる」と指摘。現時点では、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、れいわ新選組などの野党勢力の足並みは揃っておらず、与党に有利と見る声もあるが、岸田氏は「その積み上げはまだ見えない」と慎重な姿勢を崩さなかった。
裏を返せば、与党側にも選挙準備や党内基盤に不安を抱える声が存在していることの表れでもある。
発言の裏に見える「岸田流の距離感」
今回の岸田氏の発言で目立ったのは、「首相判断を尊重する」という言葉の繰り返しに象徴される、石破政権への一定の“距離感”だ。岸田氏は政権交代後も党内長老として発言権を維持しており、政策や選挙戦術に対して影響力を残しているとされる。
だが、内閣不信任案に対して「一切口を出さない」というスタンスは、かつて自らが首相として不信任案と向き合った経験者としては、ある意味冷淡にも映る。それだけに、今回の発言は「石破政権との協調よりも、様子見と保身を優先したのでは」との見方も広がっている。
また、岸田氏自身が次の衆院選後に再浮上を狙っているのではないかとの憶測も根強く、今回の「尊重」発言が、あえて石破氏との間に一線を引く政治的意図を帯びたものと見る向きもある。
ネット上の反応
「岸田さん、相変わらず他人事。責任感ないな」
「増税メガネと言われ低支持率だった岸田氏が言うことではない」
「前首相の発言としては弱すぎる。もっと踏み込め」
「選挙になったら微妙な戦い?そりゃ岸田時代の不満も残ってるしな」
「石破との連携は一応あるけど、本音は“オレは関係ない”って感じだね」
岸田前首相の「尊重するしかない」という発言は、石破政権との連携姿勢を見せながらも、あくまで一定の距離を保つ“岸田流の対応”だったと言える。内閣不信任案が提出されるかどうかは依然不透明だが、その政治的帰結は、岸田氏自身の今後にも静かに影響を及ぼす可能性がある。
政局の行方は、現職首相だけでなく、前任者たちの言動にも左右される。表に出ない駆け引きと打算が、水面下で確実に動いている。