2025-11-25 コメント投稿する ▼
消費者庁が有識者検討会開催、高齢化とデジタル化で急増する解約料トラブルと消費者被害の防止策を検討
近年、高齢者のデジタル機器利用増加や若年層のSNS被害拡大により、消費者トラブルが深刻化している現状を受けて、消費者契約法の改正や官民連携による被害防止策の検討を進める方針です。 消費者庁の調査では、解約料に関する消費生活相談は年間3万件を超える水準で推移しており、高額な商品・サービスや継続的契約で高額な解約料を請求される事例が多発しています。
デジタル時代の消費者保護を強化
消費者庁が有識者検討会を開催、高額解約料問題や高齢者被害防止へ
消費者庁は2025年11月25日、デジタル化の進展と高齢化社会の課題に対応するため、「安全な取引環境の構築を図る有識者検討会」の第1回会合を開催します。近年、高齢者のデジタル機器利用増加や若年層のSNS被害拡大により、消費者トラブルが深刻化している現状を受けて、消費者契約法の改正や官民連携による被害防止策の検討を進める方針です。
同庁によると、来年夏ごろに中間取りまとめを公表する見通しで、解約料の適正化や消費者の意思決定支援、深刻な財産被害の防止を目指します。検討会では特に、物品購入やサービス契約における解約料の設定基準について議論を深める予定です。
高齢化とデジタル化が生む新たなリスク
高齢化社会の進行とデジタル技術の普及により、従来とは異なる消費者被害が急増しています。国民生活センターの統計によると、60歳以上のネット通販トラブルは2019年度に約2万5800件となり、2010年度の15倍に急増しました。一方、59歳以下の伸びは6倍弱に留まっており、高齢者特有の脆弱性が浮き彫りになっています。
高齢者のスマートフォン利用は急速に広がっており、70歳代でも4割以上がネット通販を利用している状況です。しかし、慣れない画面操作や複雑な手続きにより誤注文や意図しない契約を結ぶケースが頻発しています。また、成年年齢の18歳への引き下げにより、若年層のSNS関連トラブルも増加しており、総合的な消費者保護対策が急務となっています。
「スマホで買い物したつもりないのに定期購入になってた」
「解約料が高すぎる、どうして平均損害額を証明しなきゃいけないの」
「SNSの広告クリックしただけで契約になるなんて知らなかった」
「高齢の母がネット詐欺に遭ったが対処法がわからない」
「若者だから大丈夫と思ってたけど投資詐欺にひっかかった」
解約料問題の構造的課題を検証
検討会が重点的に議論する解約料の問題は、消費者契約法第9条1項1号の「平均的な損害の額」の立証責任にあります。現行法では、解約料が事業者の平均的損害額を超える部分を無効としていますが、消費者側がこの平均的損害額を算出して証明することは極めて困難な状況です。
消費者庁の調査では、解約料に関する消費生活相談は年間3万件を超える水準で推移しており、高額な商品・サービスや継続的契約で高額な解約料を請求される事例が多発しています。特に結婚式場、エステティック、教育サービス、車両リースなどの分野で深刻な問題となっており、事業者側が有利な立場を利用して過度な解約料を設定するケースが目立ちます。
2023年の消費者契約法改正により、事業者には解約料の算定根拠説明の努力義務が課せられましたが、これは水準を直接規制するものではありません。今回の検討会では、より実効性のある規制手法について検討が進められる見込みです。
官民連携による包括的対策が必要
消費者庁は今回の検討会を通じて、法改正だけでなく官民連携による多角的なアプローチを模索しています。デジタル・プラットフォーム企業との連携により、AIを活用した不適切な契約パターンの検知や、高齢者向けの分かりやすいインターフェースの開発などが検討される見通しです。
また、消費者教育の強化も重要な課題として位置づけられています。特に高齢者のデジタルリテラシー向上や若年層のSNS利用における注意喚起について、効果的な教育手法の確立が求められています。消費者委員会も「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ」を設置し、チャットを利用した勧誘規制などについて検討を進めています。
さらに、地方自治体との連携強化も重要な要素です。高齢者の見守り体制や消費生活センターの機能拡充により、被害の早期発見と迅速な対応を可能にする仕組みづくりが必要とされています。
検討会の成果は来年夏の中間とりまとめを経て、消費者契約法改正や新たなガイドライン策定につながる可能性があります。デジタル化が加速する中で、すべての世代の消費者が安心して取引できる環境整備に向けた重要な転換点となりそうです。消費者の権利保護と事業活動の健全な発展を両立させる新たなルール作りが期待されています。