2025-09-12 コメント投稿する ▼
国債借換債の実態 いさ進一前議員が指摘「新規発行と一体で考えるべき」
借換債は「既存の借金を置き換えるだけ」という単純な構図ではなく、「誰が買い手になるのか」という現実的な課題を常に内包している。 136兆円の借換債に加えて30兆円超の新規発行が積み重なることで、国債残高は年々増大している。 いさ氏の発言は「借換債は単なるつなぎであっても、新規発行の累積は財政リスクを高めている」という点を浮き彫りにしている。
国債償還と借換債の仕組み
いさ進一前衆議院議員がSNSで取り上げたのは、西田昌司議員の発言である。「満期がきた国債償還は借換債に置き換えるだけで、現世代や次の世代の税金を使っているわけではない」という説明について、いさ氏は「まったく事実」と認めつつも、その先にある課題を指摘した。
国債の元本償還に直接税収を充てるのではなく、借換債によってつなぐのが日本の財政運営の実態だ。実際、2024年度予算では約136兆円が借換債として計上されている。しかし、いさ氏が指摘する通り、「借換債だから無限に発行できる」という考え方は現実的ではない。
「借換債でつなげるのは事実。でも国債を誰かが買ってくれなければ成立しない」
「日銀は購入を減らし、生保など大口投資家も買い控えている現実を直視すべき」
「毎年30兆円規模で新規国債を発行していることも忘れてはならない」
「借換債を過小評価し、新規発行を軽視する議論は危険だ」
「結局は将来世代が背負うリスクが大きいのではないか」
こうした反応からもわかるように、借換債の仕組みは短期的には財政運営を可能にするが、根本的な財政規律を緩めるリスクを抱えている。
日銀の姿勢と市場環境の変化
日銀は長らく国債購入を続けてきたが、2023年夏以降、購入ペースを減少させている。これにより市場での国債消化は金融機関や生保、年金基金といった民間投資家に依存する部分が拡大した。しかし、生保会社は低金利下での運用リスクを理由に国債投資を控える傾向を強めている。
その結果、借換債の発行が円滑に進むかどうかは、市場の需給関係に左右される。借換債は「既存の借金を置き換えるだけ」という単純な構図ではなく、「誰が買い手になるのか」という現実的な課題を常に内包している。
新規国債発行と財政の持続性
借換債だけでなく、政府は毎年30兆円規模の新規国債も発行している。これらは社会保障費や公共事業、減税の財源を補うために必要とされている。136兆円の借換債に加えて30兆円超の新規発行が積み重なることで、国債残高は年々増大している。
いさ氏の発言は「借換債は単なるつなぎであっても、新規発行の累積は財政リスクを高めている」という点を浮き彫りにしている。財政健全化の議論を進める上では、借換債だけを切り離して安心するのではなく、新規発行分も含めて全体像を把握することが求められる。
国民への説明責任と政策課題
政府・与党が「借換債だから心配ない」と強調しすぎれば、国民への説明責任を果たせない。借換債も市場で調達する以上、将来的な金利上昇や投資家の需要動向によっては財政リスクが顕在化する可能性がある。
石破茂政権下で進められる経済・財政政策においても、国民の負担感を軽減する減税と並行して、国債依存体質からの脱却が避けられない課題となる。単なる給付金頼みの政策や、借換債による先送りでは信頼回復につながらない。
借換債依存からの脱却と財政再建の現実
今回の論戦は、日本の財政運営の根幹にある「借換債依存」の危うさを示している。短期的には現世代の税負担を回避できる仕組みであっても、新規発行の累積が膨張する以上、持続可能性には限界がある。
財政健全化を進めるには、まず減税と支出改革を両立させ、国債発行に頼らない経済運営の道筋を明確に示すことが必要だ。借換債の仕組みを正しく理解しつつ、将来世代にリスクを押し付けない現実的な選択が求められている。