2025-04-09 コメント: 2件 ▼
省庁を掃除する“スパイ”か? 中国製ロボに小野田紀美議員が警鐘
ロボット掃除機が“動く目と耳”に?
小野田議員によると、衆議院の議員会館では中国メーカーの掃除ロボットが、参議院では日本ブランドだが製造は中国という機種が使われているという。どちらもカメラや通信機能を備えており、いわゆる「IoT(モノのインターネット)」機器だ。
「セキュリティ面でのチェックはどうなっているのか」との問いに対し、衆参それぞれの事務局は「安全保障の観点は調達基準に含まれていない」と答えた。つまり、省庁の中を自由に動き回るネット接続機器が、ノーチェックで稼働しているという現状だ。
所管官庁は?“責任の所在”があいまいなまま
さらに問題なのは、このリスクを誰が管理しているのかが不明確な点だ。小野田議員は内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)や経産省、デジタル庁に「所管はどこか」とただしたが、明確な答弁は返ってこなかった。
唯一、国家安全保障局が「各省庁と連携して検討していく」と述べたものの、危機対応のリーダーが見えないままの状態が続いている。
“妄想力”がセキュリティを救う?
デジタル担当の平将明大臣は、「IoT機器は、漫画『攻殻機動隊』のようにハッキングされる可能性もある。妄想力を働かせて対策を考えることが大事」と語った。一見ユニークな発言だが、裏を返せば、政府のリスク対応が“想像力頼み”ということでもある。
実際、掃除ロボットはオフィスや会議室をくまなく移動し、映像や音声を拾って外部へ送信できる仕組みを持っている。万が一、外部から乗っ取られれば、省庁の内部が丸裸になってしまうおそれもある。
現実的な問題提起に耳を傾けるべき
小野田議員の指摘は「妄想」ではなく、現実の危機を見据えた警告だ。中国では、国家情報法により、企業は当局の要請があれば情報提供を義務づけられている。つまり、中国製のIoT機器には、意図せずとも“情報の抜け道”が生じうる構造的リスクがある。
政府の機関こそ、こうした製品の使用には最大限の注意を払うべきだろう。調達時にセキュリティリスクを評価し、安全保障の視点を持ち込むことは、もはや当然の要請と言える。
「備えあれば憂いなし」 危機意識の再構築を
今後は、IoT製品に関して以下のような対応が求められる。
- 調達基準に「安全保障」「製造地」「通信モジュールの出自」などを明記
- 政府全体で統一的なガイドラインを策定
- 第三者によるセキュリティ監査制度の導入
「掃除機に話を聞かれていたら」と思うと、少し怖い話かもしれない。だが、その“想像”が次の危機を防ぐことになる。小野田議員のように、現場の盲点をつく問題提起は、今の政治にこそ必要な感覚だ。国家の安全保障は、細部に宿る。だからこそ、私たちも“ロボット掃除機の目線”を侮ってはいけない。