2025-11-03 コメント: 1件 ▼
小野田紀美担当相の外国人政策、11月4日の関係閣僚会議で司令塔機能が始動
新設された「外国人との秩序ある共生社会推進担当」相に抜擢された小野田紀美経済安全保障担当相は、7月の参議院選挙で強い国民の関心を集めた外国人政策を推進する司令塔的役割を担うことが期待されています。 ただし同時に、排外主義に陥ることなく、法の下の秩序を守る共生社会の実現との両立が求められています。
高市早苗首相は11月4日、外国人政策に関する関係閣僚会議の初会合を開く予定です。この会議は、複数の省庁が縦割りで抱えてきた外国人問題を横断的に点検し、土地取得ルール見直しなど規制強化の検討を進める重要な舞台となります。新設された「外国人との秩序ある共生社会推進担当」相に抜擢された小野田紀美経済安全保障担当相は、7月の参議院選挙で強い国民の関心を集めた外国人政策を推進する司令塔的役割を担うことが期待されています。
関係閣僚会議の構成と目的
木原稔官房長官が議長を務める会議に、小野田氏と平口洋法相が副議長として参画します。現在、日本の在留外国人数は過去最多の約396万人に達し、2024年末時点で前年比10.5%増加しています。外国人による社会保障制度の悪用、難民認定申請の濫用、オーバーツーリズムによる地域摩擦など、課題が多岐にわたるため、統一的な対応が急務となっているのです。
連立政権を組む自民党(自由民主党)と日本維新の会の連立合意書では、外国人や外国資本による土地取得規制を強化する法案を2026年の通常国会で策定することを明記しています。小野田氏は10月31日の記者会見で「土地所有者の実態がよく分からないところに問題がある」と述べ、早急な実態把握と制度見直しへの強い意欲を示しました。
WTO協定がもたらす制約との緊張関係
一方で、この規制強化には国際的な課題も存在します。世界貿易機関(WTO)の「サービスの貿易に関する一般協定」(GATS)が立ちはだかっているのです。日本は1995年のWTO加盟時、外国人の土地取得を制限する留保条項を盛り込まなかった経緯があります。このため、外国人のみを対象とした規制措置はGATS第17条に規定される内国民待遇の原則に抵触する可能性が指摘されています。米国や中国といった他国は加盟時に留保条項を設けており、規制権を確保していますが、日本は当時、外国資本の受け入れを優先させました。
しかし注目すべき点として、日本は地域的な包括的経済連携(RCEP)協定では土地取得に関する留保を付けており、大正14年制定の外国人土地法を根拠として申告しています。この矛盾への対応が、強化策の実行に向けた法的な鍵となるでしょう。
「外国人が増えるのは良いが、ルール破りは絶対に許せない」
「違法外国人ゼロは賛成だが、人手不足産業の労働力をどう確保するのか」
「制度悪用の対応は必須。まず実態調査をしっかり進めてほしい」
「排外主義に陥らず、法治を貫く必要がある。監視国家にはなるな」
「土地が中国資本に買われるのは絶対に防ぐべき。安全保障の問題だ」
縦割り行政の打破が鍵
外国人政策は、法務、厚生労働、警察など複数の省庁に所管が分かれており、これまで対症療法的な対応に留まってきました。高市首相が掲げた「司令塔機能の強化」により、各省庁の連携を加速させることが課題です。出入国在留管理庁がまとめた提案によると、外国人受け入れの総量規制を含めた人口戦略の策定と、社会保障制度の適正化、在留管理の厳格化が検討されています。
小野田氏は記者会見で「一部の外国人による犯罪や制度の不適切利用で、国民が不安や不公平を感じている」と強調し、「司令塔としてやっていきたい」と述べています。ただし同時に、排外主義に陥ることなく、法の下の秩序を守る共生社会の実現との両立が求められています。
選挙争点化から政策実現へ
この政策は7月の参議院選挙で争点化しました。自民党は「違法外国人ゼロへ」と題した動画を公開し、小野田氏が説明役を務めました。参政党が「日本人ファースト」を掲げ選挙で躍進したことで、既成政党も規制強化への対応を余儀なくされた背景があります。
一方で、SNS上では外国人に関する不確実な情報が拡散しています。厚生労働省のデータによれば、生活保護受給世帯に占める外国人の割合は約2.9%にとどまり、SNSに流れている「33%」という数字は根拠がありません。外国人犯罪の総検挙件数も、在留外国人数が増加する中でも近年横ばい傾向にあります。
実行までの道のり
11月4日の初会合では、これら具体的な課題が議論されることになります。土地取得ルールの見直し、社会保険料未納の防止、外国免許から日本免許への切り替え審査の厳格化、難民認定制度の適正運用など、実施面での調整が不可欠です。小野田氏の発信力と調整能力が、各省庁間の利害を乗り越えて、国民の法的安定性を守りながら、実効的な施策をどこまで形作れるかが、政権の重要な試金石となります。
人手不足との両立が課題
もう一つの大きな課題として、外国人労働力の確保との両立があります。日本は少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少により、特に建設業、飲食業、宿泊業などで深刻な人手不足に直面しています。2025年6月末時点で、特定技能制度による在留者は約34万人で前年比18%増加しており、経済界は外国人労働者に極めて依存した構図となっているのです。
「違法外国人ゼロ」と「外国人労働力の確保」という相反する要請をどのように調和させるかが、小野田氏に求められる政治的な舵取りです。法を守る勤勉な外国人労働者は積極的に受け入れ、ルール破りには厳格に対応するという明確な二分化を示すことで、国民の理解と経済界の期待の双方を得ることが重要になります。
高市政権の政治姿勢の表れ
高市首相は総裁選挙で外国人政策の「司令塔」機能強化を公約に掲げていました。今回の初会合開催は、この公約の実行段階への転換を意味しています。同時に、参政党の躍進と既成政党への支持シフトという参議院選挙の結果を踏まえた、政権としての危機感の表れでもあります。
法治を基盤とした、データに基づいた外国人政策の構築が求められています。小野田氏が排外主義に陥ることなく、法の下の秩序を守る共生社会の実現を目指しながら、国民の安心・安全と経済活力を両立させられるかが注視されます。11月4日の会議の成果が、高市内閣の政治姿勢を示す重要な指標となるでしょう。
法を遵守する外国人は受け入れ、ルール破りには毅然と対応する―この原則を貫くことが、高市内閣の外国人政策が国民的支持を得るための必須条件です。