2021-12-25 コメント投稿する ▼
電動キックボード規制緩和に疑問噴出 甘利明氏の影響力と拙速な法改正への懸念
電動キックボードが“自転車扱い”へ 急展開の背景に甘利氏の影
16歳以上であれば免許不要、ヘルメットも任意、歩道も走行可能──。2022年、政府は電動キックボードに対する規制を一気に緩和する方針を打ち出した。危険性が指摘され続けていた中での急展開に、多くの国民が戸惑いの声を上げている。
この規制緩和の裏側には、経産省の主導とともに、自民党の「MaaS議連(モビリティと交通の新時代を創る議員の会)」の存在がある。中でも、議連の会長である甘利明・前自民党幹事長の後押しが、大きな影響を及ぼしたとされている。
「甘利さん、地元で落選したのに、まだこんな大事なこと決めてるの?」
「事故増えてるのに、なぜこのタイミングで緩和?」
事故多発、現場の反対押し切る形に
電動キックボードは、ここ数年で急速に都市部で普及したが、その陰でトラブルも急増。歩道を猛スピードで走行したり、ナンバープレートやウィンカーがない違法仕様の機体が堂々と販売されたりする事態が横行していた。実際、2022年には大阪や東京で死亡・重傷を伴う事故が相次ぎ、警視庁の統計では11月までに人身・物損事故が60件にのぼった。
こうした状況を踏まえ、警察庁内部では当初、規制強化の必要性を訴える声が多かった。しかし、政府全体の方針として「脱炭素」や「新産業育成」が掲げられる中、経産省と与党議員によって“政治決着”がつけられた形だという。
「現場の警察が反対してるのに、無理やり通すってどうなの」
「何が“脱炭素”だよ。安全が一番に決まってるだろ」
経産省と業界の思惑 背景に1兆円市場の期待
電動キックボードは、CO2排出を削減できる新たな都市モビリティとして世界的に注目されており、欧米ではすでに一定の普及が進んでいる。経産省はこの流れを日本にも取り入れたい考えで、「産業競争力強化法」に基づき、特定エリアでの実証実験を進めてきた。
背景には、「国内だけで1兆円規模」「世界で5兆円市場」と言われる巨大な新産業への期待がある。新規参入を狙うベンチャー企業や輸入業者のロビー活動も活発で、これが政策決定に影響を及ぼしたとの指摘もある。
しかし、日本の道路事情は欧米と大きく異なる。狭い歩道、未整備な自転車レーン、そして高齢化社会──これらの環境下で、電動キックボードが安全に活用されるかは極めて疑問だ。
「日本の道の狭さで電動キックボードって、正気なの?」
「“脱炭素”の名の下に、国民の安全が後回しにされてる」
甘利氏の“政治力”で進んだ規制緩和
今回の規制緩和のカギを握ったのは、経産省に強い影響力を持つ甘利明氏だった。選挙区で敗北し、幹事長も退任して表舞台から遠ざかった印象のある甘利氏だが、MaaS議連の会長として電動キックボードの導入を強く推進してきた。経産省政務三役経験者で構成される議連の存在が、今回の法改正の流れを支えたと言われている。
甘利氏が過去に「3A(安倍・麻生・甘利)」の一角として党内に影響力を持っていたことは周知の事実。今回の規制緩和は、その名残とも取れる動きだが、現場レベルでの安全確保や交通秩序の観点からは、拙速との批判が相次いでいる。
安全よりビジネス優先? 今こそ議論の立て直しを
規制緩和は必ずしも悪ではない。だがそれは、安全と秩序が担保された上で初めて成立するものだ。今回の電動キックボードの規制緩和は、脱炭素という「大義名分」に隠れて、現場の声や事故の現実を軽視して進められた感が否めない。
国民の命を守るべき道路交通法が、ビジネスチャンスを優先する論理によって捻じ曲げられていないか──今こそ国会と世論が立ち止まって見直す必要がある。