2025-11-21 コメント投稿する ▼
江田憲司氏が片山財務大臣に「失望した」国債は子孫への仕送り論で理詰め追及
「外国人であれば、100万円の日本国債を買って相続して、100万円が外国人の子どもに戻れば、それは国外に日本のお金が流出するから、その分は『つけ回し』と言ってもいい」と、外国人保有分については警戒感を示した。 しかし、600兆円の資産がある」として、純負債の概念で判断すべきだと主張した。
東大→ハーバード→霞が関のエリート議員
江田憲司氏は1956年、岡山県岡山市生まれ。東京大学法学部第1類(私法コース)を卒業後、1979年に通商産業省(現経済産業省)に入省した。1987年から1年間、アメリカ合衆国ハーバード大学国際問題研究所に留学し、国際的な視野を身につけた。
1996年、橋本内閣発足により内閣総理大臣秘書官(政務担当)に起用され、行財政改革等の構造改革(いわゆる橋本行革)推進の旗振り役を務めた。1998年の橋本首相退陣により通産省を退官し、2002年から衆議院議員として8期連続当選を果たしている。
このエリートコースを歩んできた江田氏は、立憲民主党内でも財政政策に精通した議員として知られ、財務省のマインドコントロールを批判する著書も執筆している。
「国債は子・孫への仕送り」理論を展開
2025年1月21日の衆院財務金融委員会で、江田氏は片山さつき財務大臣に対し、鋭い質疑を行った。焦点となったのは、江田氏が所属する立憲民主党財政政策検討本部が昨年6月に出した提言の内容だった。
江田氏は「国債発行は孫・子の借金ではない。孫・子への貯蓄である」との記述について説明を求めた。これに対し片山大臣が一般論的な答弁をしたところ、江田氏は「今の答弁は多少失望した」と率直に反応した。
江田氏は独自の理論を展開し、「国債借金はむしろ子や孫たちへの仕送り」だと主張した。その根拠として、「例えば私が100万円の国債を買い、子が相続する。国債満期になると私の子どもに100万円が戻ってくる。だから、仕送りだと言っている」と具体例を示した。
バランスシート論で財務省を批判
江田氏の議論はさらに深化し、国家財政をバランスシートの観点から分析した。「国から見れば、それは100万円の借金で負債だ。国民の側から見れば資産で差し引きは0だ」として、国債の本質を解説した。
ただし、外国人が購入した場合は異なると指摘。「外国人であれば、100万円の日本国債を買って相続して、100万円が外国人の子どもに戻れば、それは国外に日本のお金が流出するから、その分は『つけ回し』と言ってもいい」と、外国人保有分については警戒感を示した。
SNSでは江田氏の主張に対し、さまざまな反応が寄せられている。
「江田さんの説明は分かりやすい」
「財務省の借金論に騙されてはいけない」
「バランスシートで考えるのが当然」
「外国人保有分は別問題ですね」
「トヨタの例えが秀逸です」
企業の財政論も引き合いに
江田氏は企業会計との比較も行い、「トヨタだって60兆円の負債がある。それで大変だと言っているか?100兆円の資産があるから超優良企業なんでしょ?」と述べた。国についても「たしかに1300兆円の借金ある。しかし、600兆円の資産がある」として、純負債の概念で判断すべきだと主張した。
江田氏は「国民に対する情報提供は正確に公正にしないといけない。バランスシートの片方だけ見て大変だと言うのは、本当に改めさせていただきたい」と強く訴えた。これは財務省の従来の説明姿勢に対する根本的な批判となった。
財政健全化論への反論
江田氏の論理は、従来の財政健全化論に対する強力な反論となっている。財務省は「我が国の財政は、国及び地方の債務残高がGDPの2倍を超えるまで積み上がるなど諸外国と比べても極めて厳しい状況」と説明しているが、江田氏はこうした見方を「バランスシートの片方だけを見た議論」として批判している。
立憲民主党内では、江田氏のような積極財政論者と慎重派が混在している状況だ。江田氏は食品の消費減税を推進する勉強会を開催するなど、党内で減税論を主導している。
「あんまり私に言い訳されなくていい」
質疑の中で江田氏は片山大臣に対し、「あんまり私に言い訳されなくていい」と笑顔で述べる場面もあった。これは元総理秘書官という江田氏の経歴と、財政政策に対する深い知見に裏打ちされた自信の表れとも受け取れる。
江田氏のこうした発言は、単なる政治的パフォーマンスではなく、官僚出身として霞が関の論理を熟知した上での批判として注目される。東大法学部からハーバード大学で国際的視野を身につけ、橋本行革を支えた経験を持つ江田氏だからこそ説得力を持つ議論と言えるだろう。