2025-12-12 コメント投稿する ▼
笠岡市「サラ」民事再生で負債150億円 農業とバイオマス発電の限界
岡山県笠岡市で野菜栽培とバイオマス発電を手がけてきたサラが、2025年12月12日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請したことが明らかになりました。 同社は2016年設立で、笠岡市の干拓地を活用した大規模農業と発電を組み合わせた先進モデルとして注目されてきました。
笠岡市の農業・発電企業「サラ」が民事再生、地域に走る衝撃
岡山県笠岡市で野菜栽培とバイオマス発電を手がけてきたサラが、2025年12月12日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請したことが明らかになりました。
負債総額は推定150億円に上り、地方の農業・エネルギー事業としては異例の規模です。
同社は2016年設立で、笠岡市の干拓地を活用した大規模農業と発電を組み合わせた先進モデルとして注目されてきました。
今回の申請は、地域経済や再生可能エネルギー政策の現実を突きつける出来事です。
農業×バイオマスという挑戦と急成長
サラは笠岡市の干拓地内に約11.2ヘクタールの農業用ハウスを整備し、自社の太陽光発電や木質バイオマス発電で得た電力を使う循環型農業を掲げて事業を拡大してきました。
パプリカ、ミニトマト、リーフレタスなどを生産し、国内大手の食品卸売会社や食品スーパーに安定供給していた点は評価されていました。
さらに笠岡市平成町には、出力約10メガワットの木質バイオマス発電所を設置し、売電事業にも参入しました。
2023年12月期には売上高約43億円を計上し、外形上は成長企業として映っていました。
赤字構造と環境要因が直撃
一方で、事業の土台には大きな弱点がありました。
大規模施設に伴う初期投資が巨額となり、減価償却費が設立当初から経営を圧迫し、慢性的な赤字体質から抜け出せなかったのです。
追い打ちをかけたのが、農業用水の水質悪化による作物の生育不良や、夏季の猛暑による受粉環境の悪化でした。
これにより生産量が落ち込み、売り上げが減少する中で、多額の借入金返済が経営を直撃しました。
「環境に優しい事業でも、数字が回らなければ続かない」
「再生エネルギーって聞こえはいいけど、実態は厳しい」
「補助や融資ありきのモデルだったのでは」
「地方で150億円は重すぎる」
「結局、現場が犠牲になるのがつらい」
再生可能エネルギー政策への重い問い
今回の民事再生は、企業単体の失敗にとどまりません。
農業とバイオマス発電を組み合わせたモデルは、国の再生可能エネルギー推進策とも重なり、各地で類似事業が展開されてきました。
しかし、設備投資が過大になりやすく、補助金や高額な売電収入を前提にしなければ成立しにくい構造があるのも事実です。
環境配慮という大義名分の下で、採算性の検証が甘くなっていなかったか、政策全体が問われています。
サラは今後、民事再生手続きの中で事業の継続と再建を目指すとみられますが、地域雇用や取引先への影響は避けられません。
再生可能エネルギーと農業をどう現実的に両立させるのか、国と自治体、金融機関に突きつけられた課題は重いです。