現役世代の年金を守る修正案が衆院通過　基礎年金底上げで老後の貧困対策へ

「年金3割カット防止法案」衆院通過　現役世代守るための一歩

現役世代の年金減額を食い止めるための修正案が、2025年5月30日、衆議院厚生労働委員会と本会議で相次いで可決された。これは立憲民主党が中心となり、自民・公明両党と共同で提出したもので、基礎年金の水準を底上げする措置を加えた内容となっている。今後は参議院での審議が焦点となる。

長妻氏「ラストチャンス」　将来世代の年金守るために

委員会で質疑に立った立憲民主党の長妻昭議員は、政府与党が年金法案の提出を約束した3月から大幅に遅れたことを指摘し、審議時間の短さに苦言を呈した。一方で今回の修正案について、「現役世代の厚生年金の目減りを防ぐ、まさにラストチャンスだ」と強調した。

長妻氏はさらに、年金受給額の将来的な増加について総理に問いただし、「『現役世代年金3割カット防止法案』とも言えるこの修正案の実現によって、各世代の受給総額が実質的に増える」という見通しを引き出した。石破総理も厚労省の試算を紹介し、全世代で年金総額が増加する方向であると述べた。

年金と生活保護の接点　制度全体の見直しが必要

また長妻氏は、「現在、65歳以上の生活保護受給者のうち7割以上が年金も受け取っている。これはつまり、年金だけでは最低限の暮らしが成り立っていないという現実を示している」と述べ、制度の根本的な見直しの必要性を訴えた。年金水準がさらに下がれば生活保護の対象者が増えるリスクが高まることを指摘し、有識者らを交えた会議体の設置を提案した。

これに対し石破総理は、「将来の経済状況や制度の影響は多様な要因が絡むため、正確な予測は困難だ」としつつ、「ご指摘を踏まえて厚労省で対応を検討する」と応じた。

大塚氏「若年層の老後貧困を防ぐためにも」

質疑終結後の討論では、大塚さゆり議員が政府与党の法案提出の遅れを厳しく批判。「十分な議論の機会が失われたことは国会軽視だ」と声を上げた上で、修正案に賛成する立場を表明した。

大塚氏は「マクロ経済スライドが進めば、厚生年金加入者も含めて基礎年金が3割近く減る。原案のままでは若者や現役世代が将来、深刻な老後貧困に直面する」と警鐘を鳴らし、「今この修正案を通さなければ、次の国会で審議される保証はない」として、底上げの必要性を訴えた。

修正案では、高齢世代への影響を緩和する配慮も盛り込まれており、幅広い世代にメリットがあることを強調。「低年金の方々だけでなく、若者や現役世代の不安を軽減できる制度改革だ」とした。

ネット上でも注目集まる

SNS上でも、今回の法案に対する関心は高い。特に、若者を中心に将来の年金制度への不安が色濃く表れている。

「現役世代の年金が増えるのはありがたいが、財源は大丈夫なのか？」
「高齢者の年金が減るのは不安。公平な制度設計を望む」
「就職氷河期世代への配慮が感じられる。ようやく報われるのか」
「生活保護と年金の関係性をもっと議論すべき」
「マクロ経済スライドの見直しは必要だが、急な変更は避けてほしい」

今後の課題は制度設計と財源の確保

今回の修正案は、現役世代の不安に応える第一歩ではあるが、持続可能な年金制度とするためには、さらなる議論が必要だ。年金と生活保護の制度的な連携、世代間の公平性、そして何よりも財源確保の道筋を明確にすることが、今後の政治に問われている。