2025-07-04 コメント投稿する ▼
【“さとうきびは島を守る”】新垣淑豊氏が投稿 沖縄の製糖業と農業支援の在り方に警鐘
基幹作物「さとうきび」の現状と価値を改めて訴え
新垣淑豊氏が自身の公式サイトに投稿した内容が、沖縄の農業政策や製糖産業の将来に関わる重要な視点として注目されている。
新垣氏は、「さとうきびは誰が何と言おうと、沖縄の基幹作物である」と明言。食料や産業の枠を超えた、文化的・環境的・経済的価値を再確認するよう呼びかけた。
県内のさとうきび生産量は、令和3〜4年期に約82万8,000トンを記録したものの、令和5〜6年期は66万トン台まで減少。不作の背景には、台風や干ばつといった気象変動に加え、高齢化や後継者不足も影を落としている。
出荷額は年間200億円規模にのぼり、製糖業や黒糖加工業を支え、離島地域の雇用と経済を下支えしてきた。一方で、新垣氏は「赤土流出防止」「CO₂吸収」といった環境保全機能にも言及し、さとうきびの多面的価値を強調した。
「黒糖だけじゃない、島の暮らしの根幹にある」
「さとうきびがなくなれば、離島は崩れる」
「1,000億円超の経済波及効果はもっと評価されるべき」
「都市部の人間もこの問題を自分ごとにしてほしい」
「“国土を守る”という言葉に、ハッとした」
投稿には、離島の未来や農村の現実を想起させる一文が印象的に使われている。
「さとうきびは島を守り、島は国土を守る」
──南大東島の製糖工場に掲げられた言葉だ。
製糖工場の老朽化に伴う課題と費用対効果への懸念
投稿では、県内各地の製糖工場が老朽化しており、更新や移転が必要とされている現状にも触れられた。特にうるま市の「ゆがふ製糖」は中城湾港への移転を検討しているが、事業費は約300億円にのぼり、補助を差し引いても巨額の資金調達が求められる。
新垣氏はここで「高額な設備投資が、将来にわたって十分活用される保証はあるのか」と問題提起。農家数や作付面積が減少する中、ハード整備だけが先行しても供給が追いつかず、投資の回収や税金の妥当性に疑問が生じると警鐘を鳴らした。
さらに、2024年から適用された働き方改革関連法により、工場運営においても長時間労働の是正が求められていることを指摘。自動化・省力化への対応も必要となるが、そのための追加投資も現場の負担を増大させることになる。
「空回りする投資」にならぬよう、総合的支援を
新垣氏は投稿のなかで、こうした設備更新を巡る議論に対して「単なるハード整備に終始せず、人材育成や農地集約、販路拡大などを含めた総合的な支援が求められる」と主張。
単年度のプロジェクトで終わるのではなく、「持続可能性」と「地域の自律性」を確保したうえでの投資でなければ、税金の使途として説得力を持ち得ないとの見方を示した。
県は「さとうきび増産プロジェクト会議」を設置し、収量回復に向けた対策を進めているが、新垣氏は「計画の中身を精査し、戦略的・段階的な再設計が必要」と訴えている。
新垣淑豊氏の今回の投稿は、農業を「収穫量」や「出荷額」だけで語るのではなく、地域社会・環境・文化に根ざしたものとして捉え直す提起となっている。
農地がある限り島に人は住み、人が住み続けることで島は守られる。離島振興や食料安全保障、地方再生が叫ばれる中、沖縄のさとうきび産業に向ける国・県・地域の目線が、いま試されている。