2026-02-15 コメント投稿する ▼
公立高志望が18都府県で減少、16都府県は過去最低に 私立無償化拡充が影響
2026年2月15日の共同通信の集計により、今春卒業する中学3年生の進路志望調査で、18都府県で全日制公立高校の志望が前年より減少し、そのうち16都府県は過去最低を記録したことが明らかになりました。2026年4月から私立高校の授業料無償化が大幅に拡充されることが影響し、公立離れが進んだとみられています。一方で、私立高校の志望は11府県で増加し、9府県が過去最高となりました。教育の機会均等を目指す制度改革が、中学生の進路選択に大きな影響を与えています。
18都府県で公立志望が減少、16都府県は過去最低
進路志望調査を実施していたのは全国27都府県で、このうち前年と数値が比較可能な形で調査を行ったのは20都府県でした。福井や静岡など6県は非公表だったり、公私立をまとめた形で公表したりといった理由で除外され、大阪府は校長会調査のため対象外となりました。
調査の結果、宮城、栃木、群馬、埼玉、東京、神奈川、山梨、長野、愛知、岐阜、三重、滋賀、京都、兵庫、岡山、佐賀、長崎、鹿児島の18都府県で公立志望が減少しました。このうち岐阜と佐賀を除く16都府県は過去最低を記録しました。
公立高志望の数値は、卒業予定者や進学希望者に占める割合を示す自治体と、公立高の定員に対する倍率で示す自治体があり、長野県は志願人数を出しました。調査時点はそれぞれ異なり、志望段階のため実際の出願状況は異なる可能性があります。
公立志望が過去最低の16都府県をみると、割合で示した12都府県では、栃木、埼玉、滋賀、鹿児島が3ポイント台、群馬、神奈川、京都、兵庫、岡山が2ポイント台の減少でした。埼玉は60パーセントを割り込み、京都は50パーセントを下回りました。
「公立でいいやって時代は終わったのかな」
「私立も無償化なら、設備いい学校選ぶよね」
「公立の先生たち、焦ってるだろうな」
「うちの子も私立志望に変えた。授業料同じなら環境重視」
「これで公立の質が下がったら本末転倒だけど」
私立志望は11府県で増加、9府県が過去最高
青森、栃木、群馬、埼玉、神奈川、山梨、長野、愛知、滋賀、京都、岡山、徳島の12府県では、私立高校の志望状況も調査していました。このうち徳島以外の11府県で私立志望が増加し、うち9府県が過去最高となりました。
逆に、青森と徳島の2県では公立志望が増えました。これらの県では私立高校の数が少ないことや、地域の事情が影響している可能性があります。
私立高校の志望増加は、2026年4月から始まる私立高校授業料無償化の拡充を見越した動きとみられます。これまで経済的な理由で公立高校を選択せざるを得なかった家庭でも、私立高校が選択肢に入るようになったことが大きいとされています。
2026年4月から私立無償化が大幅拡充
高校授業料無償化は2026年4月から所得制限が完全撤廃され、私立高校の加算分の上限額が45万7200円に引き上げられます。これは私立高校の授業料の全国平均相当額です。
2025年度までは、年収約590万円未満の世帯を対象に年額39万6000円を上限として支援していましたが、2026年度からは所得制限がなくなり、すべての世帯が年額45万7200円までの支援を受けられるようになります。
公立高校については、すでに2025年度から所得制限なしで年額11万8800円(授業料相当額)の支援が行われており、実質的に授業料は無償化されています。
この制度改革は、自由民主党、公明党、日本維新の会の3党合意に基づいて実現したもので、教育の機会均等を図ることを目的としています。所得に関わらず、すべての高校生が希望する教育を受けられる環境を整備する狙いがあります。
無償化の影響と懸念
授業料無償化の拡充により、中学生の進路選択の幅が広がることは歓迎すべきことです。しかし、一方で公立高校離れが進むことへの懸念も出ています。
公立高校の志望者が減少すれば、公立高校の競争率が下がり、入学のハードルが低くなる可能性があります。その結果、公立高校全体の教育水準が低下するのではないかという指摘もあります。
また、無償化されるのは授業料のみで、入学金、施設費、制服代、通学定期代、修学旅行費などは対象外です。文部科学省の調査によると、私立高校では授業料以外に年間50万円程度の諸費用が発生するとされています。授業料が無償化されても、公立高校と私立高校では年間100万円以上の差が残ることになります。
さらに、私立高校の中には無償化を機に授業料以外の費用を引き上げる動きもあるとされ、実質的な負担が増える可能性も指摘されています。
地域差も顕在化
東京都や大阪府では、国の制度に先駆けて独自の授業料無償化を実施してきました。東京都では2024年度から所得制限を撤廃し、国と都の助成を合わせて私立高校の平均授業料(約49万円)まで支援しています。大阪府でも2024年度から段階的に無償化を進め、2026年度には全学年で所得制限なしの無償化を実現する予定です。
こうした自治体では、すでに私立高校への進学率が高まっており、今回の調査結果もその傾向を反映していると考えられます。一方、私立高校の数が少ない地方では、無償化が進んでも選択肢が限られるため、公立高校志望の減少幅は小さくなっています。
地域によって私立高校の数や教育環境に差があるため、無償化の恩恵を受けられる程度にも地域差が生じています。都市部と地方の教育格差が拡大する可能性も懸念されています。
公立高校の対応が課題に
公立高校離れが進む中、公立高校側も対応を迫られています。特色ある教育プログラムの導入、施設設備の充実、進学実績の向上など、私立高校に対抗できる魅力を打ち出すことが求められています。
一部の公立高校では、探究学習やグローバル教育、ICT活用など、特色ある取り組みを進めています。こうした学校では、無償化後も志望者が集まることが期待されています。
逆に、特色が乏しく、施設設備が古い公立高校では、志望者の減少が加速する可能性があります。公立高校の二極化が進むことも懸念されており、教育行政の対応が注目されます。
今回の調査結果は、高校授業料無償化の拡充が中学生の進路選択に大きな影響を与えていることを示しています。教育の機会均等という理念のもと、すべての生徒が自分に合った学校を選べる環境が整いつつありますが、一方で新たな課題も浮上しています。