2025-12-18 コメント投稿する ▼
文科省が教職課程単位を大幅削減へ 教員不足解消と専門性強化狙う
文部科学省は2025年12月18日、教員不足の深刻化を受け、教員免許取得に必要な大学の単位数を削減する制度改正案をまとめたことが分かりました。 現行制度では、小学校・中学校・高校の1種免許を取得するために、教科や教職に関する科目として59単位以上が必要とされています。
教員不足対策で免許制度を大幅見直し
文部科学省は2025年12月18日、教員不足の深刻化を受け、教員免許取得に必要な大学の単位数を削減する制度改正案をまとめたことが分かりました。教職課程の負担を軽減し、その分を学生が学びたい専門分野に充てることで、教職への参入障壁を下げる狙いです。教員養成系以外の学部でも免許を取得しやすくし、多様な専門性を持つ教員の確保につなげます。
同日開かれた中央教育審議会の作業部会では中間まとめ案として提示され、2027年の国会で教育職員免許法の改正を目指す方針が示されました。
単位数を約半分に精選、学び直しへ転換
現行制度では、小学校・中学校・高校の1種免許を取得するために、教科や教職に関する科目として59単位以上が必要とされています。見直し案ではこの部分を精選し、小学校35単位、中学校31単位、高校29単位へと大幅に削減する方向です。
一方で、削減分は単なる負担軽減に終わらせず、専門的な科目を別途約20単位設ける構成とします。共通で学ぶ基礎科目と専門科目を合算しても、全体の単位数は従来より少なくなり、学生が主体的に学びを設計できる仕組みへ転換します。
「教職の単位が重すぎて諦めた」
「専門を生かせるなら教員も考えたい」
「数を減らすだけで質が落ちないか不安」
「現場に必要なのは実践力だと思う」
「多様な先生が増えるなら歓迎」
AIや日本語指導を重視、質の担保が鍵
専門的な科目として想定されているのは、人工知能(AI)やデータサイエンス、日本語指導など、現代の教育現場で需要が高まる分野です。外国人児童生徒への日本語指導や、データを活用した学習支援など、従来の教職課程では十分に扱えなかった内容を体系的に学べるようにします。
また、単位削減による質の低下を防ぐため、オンラインを活用した事前・事後学習の充実を打ち出しました。対面授業と組み合わせることで、学修時間と内容の可視化を進め、一定の水準を確保するとしています。
なり手不足の解消へ、制度設計が試金石
教員不足は地方を中心に深刻化しており、臨時的任用や兼務で現場を支えるケースが増えています。今回の見直しは、免許取得のハードルを下げる一方、現場で通用する専門性をどう担保するかが成否を分けます。
教育の質は制度の数値ではなく、運用で決まります。単位削減が「教員の軽量化」につながるのか、それとも専門性を高める改革になるのかは、大学と現場の連携、そして厳格な評価にかかっています。国費投入を前提とした拡大策ではなく、限られた資源で実効性を高める制度設計が不可欠です。