2025-10-27 コメント投稿する ▼
日本版DBS開始も課題山積、名字変更で犯歴すり抜け福岡の教員免許偽造事件
福岡県須恵町の中学校で補助教員をしていた男が偽造教員免許を使い回していた事件で、2026年12月開始予定の日本版DBSへの期待が高まる一方、対象範囲の限定や照会期間の制限など、制度の不十分さを指摘する声が広がっています。 調査の結果、近藤容疑者は約20年前に児童ポルノ禁止法違反の罪で有罪判決を受け、教員免許を失効していたことが判明しました。
名字変更で犯歴把握できず
福岡県須恵町立中学校の補助教員近藤正仁容疑者(66歳)が偽造有印公文書行使の疑いで2025年10月13日に逮捕されました。近藤容疑者は2025年1月下旬、同町役場学校教育課で採用試験に応募した際、偽造された中学校教諭1種免許状の写しを提出した疑いが持たれています。
調査の結果、近藤容疑者は約20年前に児童ポルノ禁止法違反の罪で有罪判決を受け、教員免許を失効していたことが判明しました。当時は「古畑正仁」という名前でしたが、その後、養子縁組により複数回名字を変更していました。
須恵町教育委員会は採用時、文部科学省が管理する教員免許失効者のデータベースで性犯罪歴を確認していましたが、失効時の旧姓「古畑」で登録されていたため、「ヒットしなかった」といいます。名字が変わると照会しても該当しなくなる現行制度の盲点を突かれた格好です。
さらに近藤容疑者は、2014年にも偽造免許を飯塚市の教育事務所に提出した疑いで逮捕され、有罪判決を受けていました。今回提出された免許状には前回と同じく「岐阜県教育委員会」の記載があり、警察は過去に作成した偽造免許状を使い回していた可能性があるとみて調べています。
日本版DBS、2026年12月開始へ
こうした事態を受け、政府が2026年12月に運用を開始する予定の「日本版DBS」への期待が高まっています。日本版DBSとは、学校や保育所など子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴を雇用主が照会できる制度です。イギリスのDBS制度を参考にしており、戸籍情報とひも付けるため、養子縁組などで姓名が変わっても犯罪歴を把握できるようになるとされています。
「やっと日本も性犯罪者から子どもを守る制度ができるのか」
「名前を変えて教育現場に戻ってくるなんて怖すぎる。早く新制度を始めてほしい」
「偽造免許を2回も使うって悪質すぎる。どうして防げなかったんだ」
「データベースに穴があるのは知られていたのに、なぜ改善しなかったのか」
「2026年まで待たずに、今すぐ対策を強化すべきだ」
制度では、事業者がこども家庭庁の情報照会システムを使って就職予定者の性犯罪歴を照会し、犯歴があれば本人に事前告知します。就職内定を辞退しない場合は、雇用主側に「犯罪事実確認書」が交付される仕組みです。
対象罪名・期間に課題残る
ただし、専門家からは制度の不十分さを指摘する声も上がっています。照会対象となる性犯罪は「特定性犯罪」に限定されており、不同意わいせつ罪、不同意性交等罪、児童買春、児童ポルノ禁止法違反、痴漢、盗撮などが含まれます。
しかしストーカー規制法違反や、制服や下着を盗んで窃盗に問われたケースは該当しません。また子どもへのわいせつ行為で逮捕されても、犯罪内容が軽微と判断されたり、被害者側と示談したりして不起訴となった場合も対象外です。
照会できる期間も限られています。拘禁刑の場合は刑期終了後20年、執行猶予判決を受けた場合は判決確定日から10年、罰金刑の場合は刑の執行終了等から10年までとなっています。期間経過後は照会対象から外れるため、再犯リスクのある人物を完全に排除できるわけではありません。
教育界の法律に詳しい鈴木みなみ弁護士は「過去にわいせつ行為をした教員を網羅できるわけではない。運用していく中で改善されることを期待したい」と話しています。
現場では不適切言動も
近藤容疑者をめぐっては、勤務先の中学校で女子生徒に対する不適切な言動も問題となっていました。2025年9月22日の保護者説明会では、掃除の時間中に「その姿はエロく見えるよ」と発言したことや、過度なボディタッチなどが指摘されました。
こうした事案を受け、衆参両院の委員会では、政府に特定性犯罪に下着窃盗やストーカー行為などを含めること、対象者に個人事業主を含めることなどの検討を求める付帯決議を可決しています。子どもたちの安全を守るため、より実効性のある制度とするための改善が急務となっています。