2025-09-25 コメント投稿する ▼
下村博文氏にキックバック再開を要請か 旧安倍派元会計責任者が証言
自民党の旧安倍派からパーティー収入をキックバック(利益の還流)として要求された疑いが持たれている大野泰正元参議院議員(被告)の裁判で、当時の派閥の会計責任者が法廷に立ち、3年前にキックバックが再開された経緯について、**下村博文元政務調査会長から再開を求められた**と証言した。 大野被告側は、派閥から交付された現金を「求められれば返す預かり金」と認識していたと主張している。
旧安倍派元会計責任者が証言 「下村氏にキックバック再開を求められた」
自民党の旧安倍派からパーティー収入をキックバック(利益の還流)として要求された疑いが持たれている大野泰正元参議院議員(被告)の裁判で、当時の派閥の会計責任者が法廷に立ち、3年前にキックバックが再開された経緯について、下村博文元政務調査会長から再開を求められたと証言した。
大野被告(66)は、旧安倍派の派閥から約5,100万円の還流金を受け、収支報告書に記載しなかったとして政治資金規正法違反の罪に問われている。被告は無罪を主張している。
25日、旧安倍派の松本淳一郎元会計責任者(有罪判決が確定)が証人として出廷した。松本氏は、かつて安倍元総理から還流を一時中止する方針が示されたものの、2022年ごろに再開された経緯を説明した。その中で弁護士の問いに対し、「下村氏から池田佳隆元衆議院議員に還付を再開するように言われたか」という問いに「そうです」と述べ、再開要請の主体として下村氏の名を明かした。
下村氏、全面否定して反論
下村博文氏は25日夜、自身の旧ツイッター(X)で、「再開を指示・決定した立場ではなかったし、そのような要望もしていない」と反論した。
さらに、再開要請をした事実はないと明言した。
その投稿では、2022年4月に安倍元総理から還流中止の意向が示された後、6月にある議員からノルマ超過分の還付に関する意見が寄せられたとし、それを松本氏に事務的に報告したと説明した。しかし、自らが還流再開を要請したとは認めていない。また、同年8月の幹部会議では還付しない前提で議論が進んでいたと述べ、松本氏の証言には「明らかな事実誤認」が含まれていると主張している。
「預かり金」主張と還流の認識の食い違い
大野被告側は、派閥から交付された現金を「求められれば返す預かり金」と認識していたと主張している。これに対し、松本氏は証言で、キックバックされた現金は議員の政治活動や選挙に使ってもらうため議員事務所に返金していたとの認識を示し、「預かり金」という説明はしていなかったと述べた。
この点は、政治資金規正法の虚偽記載の構成要件や、資金の性質の認定において争点になる。預かり金として認められるかどうかは、還流の意思・実態をどう評価するかにかかる。
政治資金の透明性・公党の責任
この一連の証言・反論は、政党内部での資金管理の実態と透明性を巡る重大な疑義を浮かび上がらせる。政党や派閥の財務運営が、立法府に関わる主体の道義的・法的責任を問うものになる。
もし下村氏による再開要請が立証されれば、派閥中枢における資金還流の指示・統制の構図が明らかになる可能性がある。一方で、松本氏の証言の信憑性、証拠の補強、被告・証人間の供述の整合性などが裁判の焦点になる。
この事案は、政治資金規正法の適用実務、政党・派閥の財務責任、そして国民の信頼を維持する政治のあり方を問う意味を持つ。裁判の今後の展開が注目される。